帰宅し、早速CDコンポにThe Next Dayを入れ、スピーカーの向きも整える。
そして、再生ボタンを押し、部屋の真ん中あたりに座る。
スピーカーから一曲目の表題曲でもあるThe Next Dayのイントロが流れ出し、三秒でこれは良い・・・と思ってしまいました。
先行シングルのWhere are we now?から察するに僕はhours…のようなパーソナルで内向的なイメージを抱いていたのですが、これは違いました。
なんとエネルギッシュなのでしょう、66歳(レコーディング時は65か)の歌声なのか。
サウンドは、やはりベルリン時代を思わせる、奇妙でいながらポップなもの。LowのSpeed of lifeに歌をつけたようなイメージ。
2曲目のDirty Boysは、サックスのリフをフューチャーした曲。イギーポップのThe idiotを彷彿とさせます。
3曲目のThe Stars (Are Out Tonight)は、セカンドシングル。Youtubeで聞いた時は特にシングルっぽい曲だなぁといった具合に何も感じなかったのですが、聞けば聞くほど味の出るスルメソング。なんだか元The Yellow Monkeyの吉井和哉の最近のソロのような雰囲気。クサいコーラスがいかにもデヴィッドボウイらしい。
しかし、このPVで若い頃のデヴィッドボウイ?を演じているモデルが妙にデヴィッドボウイに似ていて良いです。
4曲目のLove is Lostは、シンセとエフェクトをかけたタムの音が印象的なマイナー調な曲。90年代の特にhours…のような曲です。独特な間と、韻を踏む、歌い回しがいかにもデヴィッドボウイ的。これはなかなか口ずさめないパターンです。
そして、5曲目のWhere are we now?。これもhours…っぽいのですが、比べて聴いてみるとこちらはかなりシンプルな演奏のように感じられます。大サビの静かなる盛り上がりが涙を誘います。ギターが泣けます。
6曲目のValentine’s Dayは、ポップなバラード。コーラスがZiggy Stardustの頃を思い出させます。サビでマイナーに転調するのが泣ける。歌声も20代のそれとまるで同じです。
これは分かり易く名曲。
7曲目のIf you can see meは、スケアリーモンスターズだったりアウトサイドだったりと、ブライアンイーノなイメージ。変拍子に乗せて畳み掛けるように歌います。デヴィッドボウイの変態的で実験的な側面といった感じです。
8曲目のI’d Rather Be Highは、パワプロとかの野球ゲームのメニュー画面のようなイントロが印象的なミドルテンポの曲。
9曲目のBoss Of Meは、90年代後半~2000年代のデヴィッドボウイといった感じ。ベースの独特の演奏がかっこいい。
10曲目のDancing Out In Spaceは、両手を広げて草原を走りたくなるような爽やかな曲。思い浮かぶのはイギリスの風景(言ったことないけれど)。
11曲目のHow Does the Grass Grow?は、いかにも”メジャーなマイナー”な存在であったスケアリーモンスターズの頃のようなB級ロック。
12曲目の(You Will) Set the World On Fireはファンの間では人気のない80年代の頃の所謂世界のスーパースターだった頃のデヴィッドボウイのような曲ですが、かっこいいのです。デカいホールに、デカい頭で浅黄色のスーツに赤いネクタイでステップ踏みながら歌っているような映像が目に浮かびます。
13曲目のYou Feel So Lonely You Could Dieは、『ロックンロールの自殺者』のジギースターダストの頃を髣髴とさせるパセティックでロマンティックなバラード。ストリングスとコーラスが盛り上げます。
グラムロックという夢のような時代を回想し、ジギースターダストという架空の自分に語りかけるような歌。なんだかんだでグラムロックが大好きな僕にとってはとても感慨深い曲。「君は死にたくなるような孤独を感じるだろう」という歌詞は切ない。イメージこそ全てとし、虚構に塗れたスターの末路のような曲です。
そして、最後、14曲目のHeatは、ドアーズのThe Endを髣髴とさせる曲。歌詞の中に三島由紀夫に関連するワードが出てきたり、抽象的なのか、物語なのか、よく分からない歌詞が印象的。所々入るドラムのフィルがスペースオディティ。
そんなデヴィッドボウイがなんと今年2013年にニューアルバムを発売するのです。
僕は嬉しいです。
確かブライアン・イーノが前に「デヴィッドボウイは事実上引退した」言っていたので、僕は寂しかったのですが、
2013年1月8日、デヴィッドボウイの66歳の誕生日の日に、27枚目のアルバム『The Next Day』を発売されることが発表されたのです。
このソーシャルネットワークワールド、情報化社会の現代、人々は指先一つで得られる情報に依存し、支配されています。
それを逆手に取ったというか、一切の情報を公開せず、新曲を世界119ヶ国に一斉配信。
去 年、ロンドンオリンピックの開会式の時、David Bowieをモチーフにしたパレードがあったり、イギリスの選手団がHeroesの入場曲で入場したりと、既に伝説のような扱いを受けていて、引退説が囁かれていた世界的アーティストの10年ぶりの新曲が一切の情報無しに急遽発売…まさに策士って感じ。
ジャケも、ヒーローズのジャケの顔を白い四角でくりぬき、The Next Dayと書かれた物で前衛的。
右上に書かれた、「Heroes David Bowie」のHeroesのところを黒く塗りつぶしています。
誕生日の日に発表された新曲『Where Are We Now?』がまた素晴らしい。
そんなデヴィッドボウイのニューアルバム『The Next Day』は2013年3月12日に発売です。
2003年の『Reality』発表後は、病気療養のため音楽活動を休止していたイギリスのミュージシャン、デビッド・ボウイの27作目のオリジナル・ア ルバム。アートワークにも使用されている1977年の名作『Heroes』を手がけているトニー・ヴィスコンティがプロデュース。
01. The Next Day
02. Dirty Boys
03. The Stars (Are Out Tonight)
04. Love Is Lost
05. Where Are We Now?
06. Valentine’s Day
07. If You Can See Me
08. I’d Rather Be High
09. Boss of Me
10. Dancing Out In Space
11. How Does the Grass Grow?
12. (You Will) Set the World On Fire
13. You Feel So Lonely You Could Die
14. Heat