月曜日, 9月 9th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
クリント・イーストウッド監督の『許されざる者』が今年日本でリメイクされるそうです。
主演でありクリント・イーストウッドの役に当たる主人公を演じるのは渡辺謙、
その相棒であるモーガン・フリーマンにあたる役を演じるのは柄本明、
ジェームズ・ウールヴェット演じる賞金首を狙う若者の役を柳楽優弥、
ジーン・ハックマン演じる街の支配者である保安官の役を佐藤浩市が演じます。
が演じます。
監督は『悪人』や『フラガール』などが有名な李相日。
概要は以下の通り。
1992年に公開されたクリント・イーストウッド監督・主演による西部劇映画『許されざる者』が日本の時代劇映画としてリメイクされる。
アカデミー賞作品賞受賞作が日本映画としてリメイクされるのは、今回が初めてである。
主演は『硫黄島からの手紙』でイーストウッド監督とタッグを組んだ渡辺謙が務める。
今作では、オリジナルの設定と同時期の明治時代初期の蝦夷地を舞台に、
江戸幕府側の残党・釜田十兵衛が再び賞金稼ぎとして戦いに身を投じるさまを描く。
キャッチコピーは「人は、どこまで許されるのか。」。(wikipediaより)
僕はこのクリント・イーストウッドの映画『許されざる者』が大好きで、その自分自身の過去に決着をつける男の姿に感動したものです。
イーストウッド自身のルーツである西部劇の巨匠であり、彼が師と仰いだドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げた「最後の西部劇」なのです。
もうこの「最後の西部劇」というキャッチコピーだけで何故か泣けます。
以下、あらすじです。
1880年のワイオミング州。
小さな牧場を営むウィリアム・ビル・マニーは、かつて列車強盗や殺人で名を馳せた伝説的なアウトローであった。
しかし11年前に妻と出逢ってからは改心し酒も止めていた。
二人の子供にも恵まれたが、作物は満足に育たず、3年前に妻にも先立たれてしまった。
そんな或る日、スコフィールド・キッドと名乗る若い賞金稼ぎがマニーを訪れた。
キッドによると「泥酔して娼婦の顔を切り刻み、目玉をえぐり出し、乳首を切り取ったカウボーイが、保安官ダゲットの裁量で、馬7頭分の賠償金を支払うという約束だけで自由の身になるという事件が起こった。
怒った娼婦たちが、カウボーイを殺した者に1000ドルの賞金を出している」という。
キッドは冷酷無比であるという伝説を持つマニーと手を組み賞金を得ようと考えていたのだ。
しかしマニーには11年という長いブランクがあった。馬も自由に乗りこなせなくなり、二人の子供もまだ幼い。
それでも、不当に殺された娼婦の敵討ちをすれば大金が手に入り、生活が楽になると考えたマニーは悩み抜いた末、再び銃を手に取ることを決意した。
マニーはかつての相棒ネッド・ローガンを連れて街へ向かった。
その頃、ダゲットは噂通り暴力的な方法で街を牛耳っていた。(wikipediaより)
イーストウッドはこの映画の製作に入る10年前から既に脚本を買い取っていたのですが、自分が主人公のマニーと同じ年齢になるのを待ってから製作に取り掛かったそうで、その時点でもうこの作品に対する気合がすごいことを感じます。
前述したとおり、マニーは昔は相当な悪党であったのですが現在は幼い二人の子どもと一緒に農家をしており銃を握ることはおろか馬に乗ることすらままならない、いかにもダメなオッサンです。
そんなダメなオッサンが物語りが進むうちにかつての悪人の顔に変わってゆく演技は鳥肌モノでした。
クリント・イーストウッドの”ただそこにいるだけで成立する圧倒的な存在感”はさすがです。
その静かな姿から何かが滲み出ているのです。
それは狂気なのか、渋さなのか、それとも情けなさなのか、はたまた色気なのか、なんとも形容しがたいのですがここはスゴ味とでも言っておきましょうか、いや、こんな言葉は反則かもしれませんが”クリント・イーストウッド感”がすごいのです。
あまり内容に触れるとネタバレしてしまいそうなのですが、この映画には終始『許されざる者』というタイトルが付きまといます。
最終的に誰が許されざる者なのか?という問いと共に、それでもイーストウッド演じるマニーという男に拍手を送りたくなるような感動を覚えるのです。
今回リメイクされるにあたり、気になった配役ですが「なるほど」と頷きたくなるような配役で楽しみです。
9/13(金)に全国で公開されるそうです。
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火曜日, 3月 5th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
先日、以前ブログで紹介したクエンティン・タランティーノ監督のジャンゴ 繋がれざる者を見てきました。
率直な感想ですが、最高に面白かったです。

過激でバイオレンスなイメージが強いタランティーノですが、僕の思うタランティーノの良さには、ロマンがある、ということです。
男のロマン、というのでしょうか、男とはこうあるべき、カッコよさとはこういうこと、というようなロマンがあるのです。
それは時に、ギャングだったり、ボクサーだったり、軍人だったり、そして、荒野のガンマンだったりするのです。
言葉以上の説得力を持つその立ち姿、目は口ほどにものを言うその眼差し、です。
今回は西部劇ということもあり、そのロマンが特に際立っていたのです。
ジェイミー・フォックスが立ち上がったその姿が、何とも強く美しく渋くてかっこいいのです。
まあ、今から見るという人もいるかもしれないので、あまり内容については触れないでおこうと思います。
珍しく(おそらく初?)悪役を演じたレオナルド・ディカプリオがかなり良かった。彼は甘いルックスで日本ではアイドル的なイメージが強いのですが、最近は、マーティン・スコセッシとよくタッグを組んでいたり、色んな役柄に挑戦していたり、僕は、彼はいわゆる演技派俳優だと思っています。
また今回でそれを思い知らされました。ディカプリオがあんな顔するとは。
本当にディカプリオじゃないようでした。見事でした。
それとサミュエル・L・ジャクソンが良かった。彼はクールな役柄が多い気がしますが、今回は意外な感じで面白かったです。
クリストフ・ヴァルツはイングロリアス・バスターズであんな嫌な役を演じていたのに、今回は、本当にいい人でした。主人公ジャンゴの良き相棒で、尊敬すべき師匠でした。
この映画、黒人奴隷をテーマとした西部劇(正しくは南部劇か)という異例の映画なのですが、やはり批判も大きいようです。
Spill.comの批評家は本作で「ニガー」という単語を多く使っていることを非難しており(一方でいくらかのレビュアーはアメリカの奴隷制度の歴史的文脈を示し、単語の使用を擁護している)、また、一部の批評では映画が非常に暴力的であることが批判されています。
映画監督のスパイク・リーは『Vibe』のインタビューで本作を見ないと述べ、
「私が言おうとしているのは、この映画が私の先祖に対して失礼だということだ。これは私の意見で、誰かを代表しているわけではない」
と説明しています。
リーはまたツイッターで、
「アメリカの奴隷制はセルジオ・レオーネのマカロニ・ウエスタンではない。ホロコーストだ。私の先祖は奴隷だ。アフリカから盗まれた。彼らに敬意を払う」
と呟いています。
また、アメリカ合衆国におけるアフリカ系アメリカ人のイスラム運動組織『ネーション・オブ・イスラム』のルイス・ファラカーンは、映画を「人種戦争のための準備」だと思ったと述べています。
確かに、この題材を扱うのは、白人であるタランティーノにとって、いやアメリカ映画界にとって大変危険な賭けだったと思います。
歴史の当事者である黒人にしてみれば、その悲しい現実をエンターテイメントにされてしまったのだから、侮辱だと思う人もいるでしょう。
この映画を見て僕が思ったことは、おそらく彼はこの映画を通して何か思想的なメッセージを込めようという意志は特に無いのだろうということです。
ただ、南北戦争の前夜に、白人に対し復讐を誓った黒人の男の物語なのだなぁ、と思ったのです。
それは僕が日本人で、アメリカの歴史について馴染みが無いからかも知れません。
ただ、弱い立場の者が、強い立場の者に勝つという話が、僕は本当に好きなのです。
また西部劇のような渋いロマンが好きなのです。
このジャンゴという映画は、僕のフェイバリットの一つとなりました。
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