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Lou Reed 死去

月曜日, 11月 4th, 2013 | Permalink


アメリカのバンド、VELVET UNDERGROUNDの創設メンバーの一人で、ロック界を代表するミュージシャンの一人でもあったルー・リードが10/27に死去しました。享年71。
 
loureed
 
本名ルイス・アレン・リード (Lewis Allen Reed) 。
ユダヤ系の血を引いており、父の代にラビノヴィッツ (Rabinowitz) から改姓。
シラキューズ大学在学中にデルモア・シュワルツ(en:Delmore Schwarz)に師事して詩作を学ぶ。
その挑戦的ながらポップさを兼ね備えた音楽性と、
陰翳と知性に富むヴォーカル・ポエトリーリーディング、
人間の暗部を深く鋭く見つめる独特の詩世界は、
後のパンク・ロック/ニュー・ウェイヴ、オルタナティヴ・ロックに大きな影響を与えた。
ボブ・ディラン、ドアーズのジム・モリソン、パティ・スミスなどと並び、
ロック界における芸術性、ひいては文学性のイノベーションと向上に多大な影響を与えた音楽家の一人である。
(wikipediaより)

2013年現在、ロックという音楽の中にはさまざまなジャンルがあります。
ブルース、ハードロック、サイケデリック、プログレッシブロック、グラムロック、パンク、ニューウェーブ、ヘヴィメタル、ハードコア、シューゲイザー、インディー、グランジ、ミクスチャーロック、インダストリアル、ロックンロールリバイバル・・・などなど。
その各ジャンルの中にもさらに枝分かれし、あらゆるロックバンドはいずれかに分類されます。
その全てのジャンル(音楽)の中でも、
ロックの商業的、産業的、芸能的なあり方をを否定し、
アートとしての進歩性を重視した音楽を、
もう一つのロック、異質なロックという意味を含んだ、オルタナティブロックというジャンル(というよりスタンス)があります。
日本のメジャー音楽シーンには必然的にありえない音楽なので、
馴染みは薄いかもしれませんが、所謂”売れ線”だったり”ヒット”とは対極の音楽であります(勿論アメリカ、イギリスではオルタナティブロックといわれるバンドが”結果的”にヒットすることはあります)。
ルー・リードの在籍していたヴェルヴェット・アンダーグラウンドの活動はわずか4年ほどであり、商業的にヒットすることなく解散したのですが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドというバンドの存在は、ロックの歴史において、そのオルタナティヴ・ロックを産み出したビッグ・バンと位置付けられるといわれております。

こんなありふれた陳腐な言葉でくくるのは彼には似合わないですが、
彼は音楽界において、紛れもないレジェンドなのです。

そんな彼の死を惜しむ声は僕らファンだけではなく、
それ以上にミュージシャンたちからも寄せられています。

デヴィッド・ボウイ(ルー・リードと親交の深かったイギリスを代表するミュージシャン)
「R.I.P.ルー・リード」
『彼は師だった』

イギー・ポップ(パンクの元祖。ルー・リードと親交の深かったアメリカのロックシンガー)
「衝撃的な報せだ…」

ジョン・ケイル(現代音楽家、元Velvet Underground)
「世界は優れたソングライターにして詩人を失った。ぼくは学校時代の友達を失ったよ」

リー・ラナルド/Sonic Youth(アメリカの80~90年代を代表するオルタナティブバンド)
「R.I.P.ルー・リード。替わりなんていない、かけがえのない人だ」

サブ・ポップ・レコード(グランジ/オルタナ系のレコードレーベル)
「”日曜の朝”の嘆き。あまりにも惜しい。ルー・リード」

ベック(アメリカのミュージシャン。最も創造的なオルタナアーティストの一人)
「”日曜の朝”に・・・」

ピクシーズ(アメリカのオルタナティブバンド)
「R.I.P.ルー・リード……伝説の人」

ジュリアン・カサブランカス/The Strokes(ロックンロールリバイバル世代の代表格)
「僕のやっていることすべてについて何故やっているのか、その理由がルー・リードだ」

カール・バラー/Dirty Pretty Things/元The Libertines(ロックンロールリバイバルバンド)
「さようならルー。俺が弱っているときや困っているときにあなたは力をくれた。」

ザ・フー(イギリスのロックバンド)
「R.I.P.(ご冥福を)ルー・リード。これからはピースフル・サイドを歩け」

ニール・ヤング(カナダ出身のミュージシャン)
「俺たちはもっとルー・リードを求めていた」

アンソニー・キーディス(Red hot chili peppers)
「ニューヨークの街を歩いた最もクール男だった」

フリー/Red hot chili peppers(アメリカのロックバンド)
「僕はルー・リードをとても愛している。いつでも」

ニッキー・シックス/Motley Crue(アメリカのバッドボーイズ系ハードロックバンド)
「ルー・リードよ、安らかに眠れ。あなたの美しくてダークなリリックと音楽や、人生におけるスタンスに感謝します。僕は10代の頃から今日の今日まで、ずっとあなたにインスパイアされてきました」

ネイサン・フォロウィル/Kings of leon(アメリカのロックンロールバンド)
「R.I.P.ルー・リード」

ジェラルド・ウェイ/元My Chemical Romance(アメリカのロックバンド)
「R.I.P.ルー・リード」

ナイル・ロジャース(アメリカの音楽プロデューサー/ギタリスト)
「ルー・リードR.I.P.。去年、ジュールズ・ホランドのテレビ番組で共演して大笑いしたのに。病気だったとは知らなかったよ……」

ウィーザー(アメリカのパワーポップバンド)
「R.I.P.ルー・リード。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドはウィーザーが結成した頃、大きな影響となって、リック・オケイセックにはその稀有な友情について聞かされたもんだったよ」

パトリック・カーニー/The Black Keys(アメリカのガレージ系バンド)
「R.I.P.ルー・リード」

トム・モレロ/Rage Against the Machine(アメリカのミクスチャーバンド)
「ぼくをルー・リードとヴェルヴェット・アンダーグラウンドに紹介してくれたのは、”ロックン・ロール”のジェーンズ・アディクションのカヴァーだった。孤高の独特な才能だった。ルー・リードR.I.P.、そしてありがとう」

アーヴィン・ウェルシュ(スコットランド出身の小説家)
「ルー・リードの訃報が悲しい。あれほどのスターが。R.I.P.ルー、映画『トレインスポッティング』に”パーフェクト・デイ”を使わせてくれてありがとう」
 
 

 
 
僕とルーリードの出会いは、確か高校二、三年の頃だったと思います。
衝撃的な出会いだとかそういったものは一切なく、彼の歌声のようにさり気なく聞いていた。
その頃すでにデヴィッド・ボウイのファンになっていた僕がルー・リードに興味を持つということは極めて自然なことだったと思います。
デヴィッドボウイが写っている写真で、イギー・ポップとルー・リードとのスリーショットがあります。
bowieiggylou
僕はこの写真が大好きでした。
この写真を見れば彼らがどういう人間かというのが伝わってくる気がするからです。
派手で奇妙なデヴィッド・ボウイは本当は真面目で大人しそうな人間なんだな、と思うし、
危険で暴力的なイギーポップは本当にバキバキのジャンキーなんだな、と思う。
そして一番地味だけどこいつが一番ヤバそうだなと感じるのがルー・リードでした。
ショートヘア、全身黒、ティアドロップ型のサングラスをかけた彼は、静かに微笑んでいる。
何故だか一番やばく見えるのです。一番怖いんだろうな。そういった印象でした。

しかしハッキリ言って高校生の僕には彼の音楽の良さというのがまるで分かりませんでした。
曲も地味だし、イギーやボウイの方がギラギラしてて魅力的でした。
そんな彼の音楽の魅力に気付いたのは、映画トレインスポッティングでした。
映画の中で主人公がオーバードーズで死にかけるシーンで、彼のPerfect Dayが使われていました。
暗いどんより空のような曲なのですが、サビに入った瞬間、晴れ間が広がり太陽の光が降り注ぐようなこの曲に僕は感動しました。

その後にベルベッツも聞きなおしましたが、なかなかハマれませんでしたが、
時を経て、つい四、五年前、僕がバンドを始めた頃にその良さは分かったような気がします。
朝早く起きて、夜も早く寝る、高校の頃は分かりませんでした。
僕が夜に生きるようになってからです、彼の音楽が心に響いたのは。
夜の楽しさと恐ろしさ。
何かがなければ、何も見えない世界。月が形を変えるのは夜の顔が一つではないから。
少し自分が悪くなったような気がするけど、それと同時に今までの自分よりは良くなった気もする。
ルー・リードの音楽は、夜に鳴るのだと思います。
ベルベッツの曲のサンデーモーニングも夜。
十分寝た後の目覚めに聞くより、
徹夜後に太陽が昇る様を見て、何とも言えない気持ちで聞く方があっている。
シャイニー、シャイニーと来て次にブーツオブレザーと来る世界。
「僕はもう疲れた。うんざりなんだよ。千年だって眠ることができた。
しかし千の夢が僕の目を覚ます。涙から作られたさまざまな夢の色たちだ」
 

 
たしかに彼はかけがえのない存在でした。
それはこれからもずっとそうです。
 
R.I.P Lou Reed
 

ダニー・ボイル

月曜日, 5月 13th, 2013 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。
ずっと見ようと思って見れていなかったダニー・ボイル監督の『サンシャイン2057』という映画を見ました。
ダニー・ボイルは、ユアン・マクレガー主演の青春映画『トレインスポッティング』や、レオナルド・ディカプリオ主演のサスペンス映画『ザ・ビーチ』、ゾンビ映画の歴史に新しい風を吹かせた『28日後…』、第81回アカデミー賞での作品賞を含む8部門を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』など数多くのヒット作を多発する映画監督です。
 
僕が最初に見た作品は『トレインスポッティング』です。トレインスポッティングは分かりやすく、UKロックな雰囲気の映画で、高校生の頃、特に何も考えずに「かっこいいな~」なんて思いながら見ていました。麻薬でトリップした感覚世界のイメージを映像にしており、その幸福感や絶望感が分かりやすく伝わってくるのです。ユアン・マクレガー演じるレントンが、ルー・リードの『パーフェクイトデイ』をバックにどこまでも沈んでゆくシーンはすごく印象的でした。
 
ディカプリオ主演の『ザ・ビーチ』も良かったです。当時タイタニックで大ブレイクしたディカプリオが、次はどんな映画に出るのか期待されていた中、100本以上のオファーを蹴ってまで出演を決めた異色作がザ・ビーチなのですが、これはなかなか大きな賭けだったのかもしれません。
日本でも、レオ様、レオ様とアイドル的な人気を博していた彼が、当時まだ世界的にはマニアックなイギリス人監督の、しかもサスペンス的な映画に出るとは、ファンは困惑したことでしょう。
 
僕がダニー・ボイル監督の映画の中で一番面白いと思ったのが、ゾンビモノのホラー映画『28日後…』です。
ゾンビといえば呻き声を上げながらノロノロと集団で迫りよってくるイメージですが、この映画でのゾンビは何と走ります。走るゾンビはゲームの『バイオハザード』でタイラントというラスボスが全力疾走するのを見て「こんなの反則だ!恐すぎる!」と思ったものですが、ここでのゾンビはすべてが走るゾンビです。
往年のゾンビ映画ファンからは、ゾンビはノロノロと歩くものだ!とこの走るゾンビには反対する人が多いのですが、僕としては全然アリだと思いました。
ただ、元々ゾンビは呪いやらなんやらで、墓場から蘇った死体ですので、当然肉体は腐っており、それを考えたらノロノロと歩く方が自然というか、ノロノロとしか歩けなさそうなのですが、28日後のゾンビは、腐った死体ではなく、ウイルスによって”理性を失い極限にまで凶暴化した人間”であり、そう思えば走っても全然おかしくはないなぁ、と思ったのです。
それと、ただ終始追われているパニック感だけでなく、放心状態の一瞬を、その絶望的な風景を、すごく空虚に、且つ爽やかに撮っており、そこもただのホラー映画として片付けるのはもったいないくらいに良かったです。
あと、キリアン・マーフィ演じる主人公ジムが怪我とかじゃなく、大事な時に普通に頭痛くなったりするリアルな感じも面白かったです。
しかし、この映画、前半のハイスピードなパニックも良いのですが、何より後半がすごいのです。
“理性を失い極限にまで凶暴化した人間” とはゾンビなのか、我々残された人間なのか。
タランティーノばりの爽快なバイオレンスで煽りまくり、最後はこの上ない爽やかさで締めくくってくれます。
 
そして、今回見た『サンシャイン2057』も主演は28日後…と同じキリアン・マーフィ。ちなみに、日本人俳優の真田広之も出演しております。
キリアン・マーフィはおそらくまだブレイクってほどブレイクはしていない俳優だと思うのですが、最近はインセプションやダークナイトシリーズでお馴染みのクリストファー・ノーラン監督に気に入られ、彼の映画で多数起用されたりしており、知っている人も少なくはないと思います。
サンシャイン2057は何だか不思議な映画でした。おそらく賛否両論分かれる映画だと思うのですが、僕的には賛成でした。
あらすじはこちら。
太陽が衰え人類が滅亡の危機に瀕している近未来(2057年)を舞台に、核爆弾で太陽の活動を蘇らせるために、宇宙船イカロス号で太陽へ向かった8人の乗組員を描いたSF映画。また、イカロス1号の遭難をめぐるホラー・サスペンス的な要素も含まれている。 (wikipediaより)
 

 
終始ハラハラさせられ、息が苦しくなります。
この映画、僕はすごく良かったと思ったのですが、どんな感じ?と感想を聞かれるとすごく困る映画でもあるのです。
全然違うジャンルですし、それぞれ意味合いは異なってくるのですが、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』を見た後に近いような感覚を覚えました。
なんというかツッコミどころが多すぎて、逆に何も言えない、と言いますか、これで「完」って言われたら、もう何も言えない感じがあるのです。
とにかく不思議な映画で、僕は好きです。

ドレスコーズ

月曜日, 12月 10th, 2012 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。
先日、日本コロムビアから、ドレスコーズというバンドのファーストアルバムが発売されました。
ドレスコーズとは、依然『毛皮のマリーズ』というバンドをやっていた志磨遼平が新しく結成したバンドです。

僕は、毛皮のマリーズがまだキャパ200人くらいのそんな大きくないライブハウスでやっていた駆け出し頃からのファンでありまして、彼らの音楽は平たく言うと、所謂”古いオールドスクールのロックンロール”を愛しすぎてそのままやってしまったというものです。
僕は当時18歳、「俺は人とは違うんじゃ~」という意識で、そういう所謂ロック!って感じの音楽からは離れ、アバンギャルドな音楽に憧れていました。
しかし、元々好きな音楽は、ローリングストーンズから始まり、イギリスのデヴィッドボウイやティーレックス、アメリカのイギーポップやルーリードやニューヨークドールズ・・・などの危なっかしくも美しい、下品でいて崇高、暴力的だが可愛い、そして毒々しく清々しい、そんな音楽でした。

その当時、東京では9mmパラベラムバレットなどが所属する残響レコードなどに代表されるスタイリッシュでストイックなギターロック、
関西ではボアダムスから始まり、あふりらんぽ、オシリペンペンズ、ワッツーシゾンビなどの関西ゼロ世代といわれる日本人の土着的な感性のヘンテコ系バンドが人気を博していました。
その関西の音楽がなんともアバンギャルドでパフォーマンスも面白くて僕はハマっていて、ある日、名古屋にオシリペンペンズ、ワッツーシゾンビらが大阪から名古屋に来るというのを知り、ライブを見に行ったのです。
ワッツーシとペンペンズを見終わり満足した僕、次のバンドは東京から来た毛皮のマリーズってバンドか、寺山修司が好きなのかな?暗くて怪しいおどろおどろしいバンドなのかな?と考えていたその時、会場にエディットピアフの『愛の讃歌』がSEで流れ出した。
クールなギターがギターのノイズをフィードバックさせる、可愛い女のベースと太ったドラムが激しいリズムを刻みだす。そして、おそらく身長180cm以上あるであろう長身で、心配になるほど痩せた、長髪の、鷲鼻の男が、突然ステージに飛び出したのです。

彼は、腰に手をやりポーズを決めて、真っ赤な口紅が塗られた大きな口を開けて歌いだしたのです。
僕はショックでした。人とは違っていたいという理由(勿論それらが好きなのであるが)でアバンギャルドな音楽に憧れていた僕はショックを受けたのでした。
「君の本当に好きなのはコレなんだろう?」
そんな声が聞こえてきそうでした。
ニューヨークドールズの頃のジョニーサンダースのようなルックスに、声質はジョンライドン、しかし歌は上手い。マークボランのようなビブラート。
イギーポップのようにステージを転げまわったと思えば、ミックジャガーのように腰をクネクネさせて踊りだす。そしてデヴィッドボウイのように両手を広げて歌い上げる。
妖しいミックジャガー?危なっかしいイギーポップ?無邪気なマークボラン?下品なデヴィッドヨハンセン?はたまた崇高なデヴィッドボウイ?
志磨遼平、彼には全ての要素があった。
「こ、こいつはロックの化身だ!」
僕はとにかくショックを受けたのです。

それ以来、彼らが東京から名古屋へライブしに来る度、見に行きました。サインもらって、自分のやっているバンドのデモ音源を渡したのは良い思い出です。
ライブへ行く度、お客さんの数が増えていき、最初は四バンド、五バンドのブッキングだったが、次第にツーマン、そしてワンマンに。
2010年、彼らはついにメジャーデビューし、メディアにもよく出るようになりました。
この頃からチケットが取りづらくなり、あまりライブに行かなくなっていったのです。
しかし、相変わらずアルバムは追って買っており、メジャーデビューしてから三枚目、インディーズも含めれば六枚目のアルバムが2011年の12月に発売されました。
そのアルバムは発売されるまでトラックリストなどの情報はおろか、アルバムタイトルすら一切公開されておらず、発売日当日、情報が解禁され、そのアルバムの名は『THE END』。
そう、彼らのラストアルバムであったのです。
そして同時に発表された、日本武道館公演。それを最後に毛皮のマリーズは解散したのでした。

僕が始めてリアルタイムで追った正真正銘のロックバンド、その早すぎる解散にまたまたショックを受けた僕でした。
毛皮のマリーズ、それはまるで僕の青春、魔法のようなバンドです。
21世紀、このご時勢、日本の音楽界に、とびっきり危険で切ないキラキラしたロックンロールを奏でてくれたのは今でも信じられません。
志磨遼平本人も雑誌のインタビューで
毛皮のマリーズは僕にとって“祈り”であり、特別な才能が無くても、音楽が好きで続けていれば誰でもメジャーデビューできて、日本武道館でライブが出来る、という”祈り”を証明したバンド
というようなこと言っており、なかなか、いや、かなり感慨深かったです。

そして、間髪入れずに結成されたバンド、ドレスコーズ
まずバンド名からして、違った印象が感じられました。
『毛皮のマリーズ』というバンド名からも分かるように、毛皮のマリーズにはある種のテーマ性があった思います。古い、既存の、みんなが憧れた、かっこいいロックンローラー像を体現するバンドであったが、ドレスコーズという名前は、もっと大きなイメージが感じられます。
テンプレート化された既存のロックンロールが普段着なら、ドレスとは一体どんな音楽になるのでしょうか?
そう思うと、さらなる上のステージに上がるようなイメージもあります。

少々前置きが長くなってしまいましたが、そんなドレスコーズのファーストアルバムが、12/5に発売されました。

1st Album『the dresscodes』

初回限定盤【CD+DVD】
COZP-735~6 ¥3,360(tax in)

通常盤【CDのみ】
COCP-37693 ¥2,940(tax in)

M-01 Lolita
M-02 Trash
M-03 ベルエポックマン
M-04 ストレンジピクチャー
M-05 SUPER ENFANT TERRIBLE
M-06 Puritan Dub
M-07 Automatic Punk
M-08 リリー・アン
M-09 レモンツリー
M-10 誰も知らない
M-11 (This Is Not A)Sad Song
M-12 1954

近所のTSUTAYAで初回版を購入してきました。
帰り道、カーステレオで聞きながら帰ったのですが、一曲、二曲、三曲・・・うわー、かっこいいな。四曲、五曲・・・とっくに家には着いているのですが、その場を離れることが出来なかったのです。

アルバムが進むに連れ膨らむ、明らかな違和感。
予想を上回る、いや予想に”反する”と言った方が正しいでしょうか、そんな衝撃があるのです。
毛皮のマリーズがセックスピストルズなら、ドレスコーズはPIL?違うか。そんなベタな例えは不要とすら聞こえてきそうです。
毛皮のマリーズがロンドンの裏通りで行われるパーティなら、ドレスコーズはイタリア南部の郊外で起きた事件・・・よく分からない例えですけどそんな印象です。
夜明け前の荒野にて、言葉もなく馬を引いて歩いている男たちって感じ。

歌が明らかに上手くなっている。歌詞が洗練されている。
ギターがギャンギャンでなんか変だ。変わった音階を使っているようにも聞こえる。
ベースがブリンブリンで踊れる。
ドラムはキースムーン?いやフリージャズ?ドタバタしているがタイトで気持ちいい。
とにかく演奏がすごい。ちゃんと勝負している感じがします。

これがメジャーのしかも大手の日本コロムビアから出ているのか・・・こんなアバンギャルドでいてポップな、ノスタルジックだが真新しい、親しみやすいが狂気的、震えるような音楽です。
アルバムを聞き始めた印象と、聞き終わった時の印象が大きく違うというのはよくありますが、曲単位でそれが体験できるのはなかなかない気がします。
『ロック』という、くくるには大きすぎるジャンルでもくくりきれないような音楽だと思います。
古いロックが好きな人にも勿論いけますが、東京事変とか椎名林檎が好きな人にもいける気がします。

毛皮のマリーズは「僕はこんな音楽たちが大好きなんです」という自己紹介だったのなら、
ドレスコーズは「では僕はこういう音楽をやります」という明らかな攻めの姿勢が感じられました。

なんだか長々と熱く語ってしまいましたが、おそらく日本のロック史に一石を投じるようなバンドであると思います。

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