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萩尾望都

月曜日, 4月 1st, 2013 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。

漫画家の萩尾望都の最新作となる『AWAY―アウェイ―』が、4月27日に発売される月刊flowers6月号(小学館)から2号連続で掲載されるそうです。
 

 
萩尾望都(はぎわらもと)という漫画家は、僕が好きな唯一の少女漫画家です。
 
やはりどうしても淡いラブロマンスや、トーマの心臓のような同性愛モノのようないかにも少女漫画!というのはどうも苦手なのですが、彼女はそれだけではなく、SFやファンタジーやサスペンスの作品も多く描いているのです。
 
僕が特に好きなのは『ポーの一族』という吸血鬼の話です。
“永遠に子どもである子ども”を描きたいという気持ちで描いたそうなのですが、まさに子どもの無邪気さで、人の命を食って生きてゆくというのがすごく衝撃的でした。
主人公である吸血鬼の少年エドガーが妹のメリーベルを必死で守ろうとし、そのためだったら手段を選ばないという姿が何とも切ないのです。
永遠の時を生きて行けるという条件であれば、逆に命の重みが増すというか、永遠の時を生きてゆけるが故に、パートナーが死んでしまったら永遠に一人で生きていかなければならないのです。
そのためにエドガーも必死で理解しあえる友人を探すのです。
やはり長い時を生きていれば、姿は少年でも考えることは大人でして、すること、考えることが残忍なのです。
子どもが、手馴れた動作で猟銃を構える姿は、不思議と絵になるものです。
出てくる登場人物も個性豊かで、エドガーは悪い行いばかりし、当然吸血鬼であるから、人間の血を吸い、命を奪うのですが、そんなエドガーを許すまいと誰もが思うのだが、誰もがその美しさだったり、危ない雰囲気に魅了されてしまうという、少女漫画ならではのオチも良い意味で期待通りで良いです。
読後感が、小説を一冊読んだような感覚で読み応えがかなりあります。
 

 
それと面白かったのが『11人いる!』という漫画です。
まず世界設定が少女漫画の枠を遥に超えているのです。
wikipediaから引用します。
 
ワープ航法と反重力推進の発明により、地球人類は宇宙へと進出を果たしている。200年の間に51の惑星を開拓したが、異星人の遺跡の発見、および異星人とのファーストコンタクトを経て団結する必要に迫られ、総合政府・テラを樹立する。
その後、サバ系、ロタ系、セグル系の3大国で構成される星間連盟に、地球および周辺惑星もテラ系として加盟。400年の時を経てロタ、セグル、サバに次ぐ国力を獲得した。異なる種族間同士の遺伝交配はロタ系を除き可能。

 
まずこの説明だけでは何のことか全く分からないのですが、気になる人は是非チェックしてみてください。
あらすじはタイトルの通り。wikipediaから引用します。
 
宇宙大学の受験生の1人、タダトス・レーン(主人公・タダ)は、最終科目の実技“各自のテスト場において集団で協調し、53日間を過ごす”を、10人構成のチームで外部との接触を断たれた宇宙船・白(はく)号において受験することを言い渡される。だが白号に集合した受験チームは1人多い11人だった。この不測の事態にあっても非常信号の発信ボタンを押せばチーム全員が不合格になるため、11人は互いに疑惑を抱きながら規定の53日間を過ごすことになった。
 
この設定だけでもう面白そうなのですが、実際に面白かったです。
映画のような漫画でした。
 
『11人いる!』もそうですが、萩尾望都の作品はどれもタイトルがすごくカッコいいのです。

少女漫画を描く人は、なかなか『漫画家』という肩書きで呼ばれることは少ないと感じます。
おそらくほとんどが『少女漫画家』と呼ばれているのではないでしょうか。
しかし、萩尾望都はおそらく『少女漫画家』より『漫画家』という肩書きの方が合っているでしょう。

ベストオブ2012

月曜日, 12月 31st, 2012 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。
今回は2012年最後の投稿ということで今年を少し振り返ってみようと思います。
 
今年はいろんなことがありました。
今年読んだ、聞いた、見たものでよかったものランキングを書きます。
思い出せられる範囲で。
 
 
漫画部門
三位・・・サイボーグ009(石ノ森章太郎)
二位・・・ポーの一族(萩尾望都)
一位・・・カムイ伝(白戸三平)

 
サイボーグ009はブックオフで立ち読みしたのをきっかけに読み始めました。
これについては前の記事でも触れたのでよしとしましょう。
ポーの一族は友人のススメで読んだのですが、すごく良かったです。
僕は少女マンガというものを全然読んだことないのですが、ポーの一族は面白かった。
吸血鬼の少年エドガーと友人アラン、そしてエドガーの妹メリーベル巡る悲しく切ない物語です。
インタビューウィズヴァンパイアという映画を思い出しました。
サスペンスものやホラーもの、最近だとサバイバル系だったりバトル系の吸血鬼漫画はよくあるのですが、こういう吸血鬼として永遠の時を生きてゆく苦しみや切なさを描いた作品はあまり見かけません。
こういうのを待っていたんだって感じでした。
 
カムイ伝はずっと読もうと思っていて読んでなかった漫画です。
少し前に松山ケンイチ主演でカムイ外伝という映画がありましたが、一応それの前の話です。
ダントツの一位です。忍者の漫画というイメージで読み始めたのですが、そんな忍者モノみたいなジャンルでくくれない漫画です。
なんというのでしょう、忍者というものが職業やキャラクターの肩書きではなく、生きる手段というか、主人公カムイの生き方です。
この漫画には、それぞれ身分の違う主人公が三人います。
非人のカムイ、農民(下人)の正助、武士の草加竜之進。
それぞれの主人公が少年から青年になるまでの苦悩しながら成長してゆく姿を描く、”生きる力”を描く、名作だと思います。
 
 
 
映画部門
三位・・・ぼくのエリ 200歳の少女
二位・・・アメリカンサイコ
一位・・・ダークナイトライジング

ぼくのエリは、2008年のスウェーデン映画です
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストによる2004年の小説『MORSE -モールス-』を原作者自らが脚色した吸血鬼映画です。
これまたバンパイア物。
しかし、バトルものでもなければ、ホラーでもない、永遠に生きる苦しみを描いたヒューマンドラマ(いや、バンパイアドラマか)でもないです。
なんなんでしょう、単純にラブストーリーになるんでしょうか。
なんでしょう、この気持ち。言葉にならない感じ。
なんというか、悲しいとも違う。悲しいんだけど、でも違う。
それはこの日本語にしかない言葉、“切ない”がピッタリだと思いました。
それは恋愛的な、恋焦がれすれ違い出会い別れ云々の切なさではないのです。
ただ切ないとしか表現できない切なさ。
感動的でも悲しいわけでもないのに、エンドロールでは何故か泣いてしまいました。

アメリカンサイコは少し前の記事でも触れましたサイコスリラーです。
クリスチャンベールの演技が見事です。本当に怖ろしいのです。
なんというか、主人公は狂人なのですが、それを抑えている感じがリアルなのです。
本当にクリスチャンベールは狂人なのではないかと思ってしまいました。
 
そして、ダークナイトライジング
これまたクリスチャンベールです。クリストファーノーラン監督が描くバットマン、ダークナイトシリーズ三部作の完結編です。
これは大好きなシリーズなのでいずれまた詳しく書きたいと思います。
 
 
 
音楽部門
四位・・・優しい悪魔/キャンディーズ
三位・・・Doom and Gloom/The Rolling Stones
二位・・・裸のビーナス/郷ひろみ
一位・・・誰も知らない/ドレスコーズ
特別枠・・・KISS KISS PISTOL/ドロロニカ

 
このランキングは、よく聞いたランキングというより、印象的だった、または衝撃的だったという曖昧な感想のランキングです。
 
キャンディーズ優しい悪魔
吉田拓郎作詞作曲のこの曲ですが、まずタイトルが秀逸だと思います。
こういう相反するような言葉をくっつけて独自の存在を作ってしまうのは、僕は好きです。
これは何かの歌番組か何かのようですが、歌は勿論、オケも生バンドのライブ演奏。
何か演奏もかっこいいのです。
イントロが終わって、Aメロに入るとドラムがハイハットを叩き始めるのですが、ベースラインも相成って、その怪しげでチープなリズムと、ミキちゃんの踊りが妙にマッチしているのです。そしてそのあとのスーちゃんのイッチョメイッチョメは何か漫画の犬みたいな顔になっている。僕はこの三人の中だったらスーちゃんが一番可愛いと思います。しかし、この映像のランちゃんはとても可愛い。
二番の「ばら色ぶどう酒に花びら浮かべば」の「浮かべば」の歌い方がこの映像におけるランちゃんの可愛さを物語ります。
 

The Rolling StonesDoom and Gloom
これは今年出されたストーンズの50周年ベストアルバムに収録された新曲です。
大して期待はしていなかったのですが、いざ聞いてみるとむちゃくちゃかっこいい。
ストーンズはやっぱマイナー調な曲がかっこいいと思います。
PVではミックジャガーの変な踊りも健在。顔さえ隠せば20代の頃とそんなに変わらないんじゃないかと思ってしまうほどです。

 

郷ひろみ裸のビーナス
郷ひろみはキャラも良いですし声も良いですが、何より曲が良い。昔のですが。
この曲は基本的に上からものを言っていて、キザでかっこいいです。
「どうしたの、着いて来ないのかい?お日様が見てるだけだよ」という歌い出しがたまらなくクサくて、ロマンチックで、時代を感じさせますが、これこそ現代のポップスが失ってしまった宝だと思います。
この映像は、可愛いアグネスチャンが郷ひろみを紹介する際にワンコーラス歌っています。
 
 
ドレスコーズ誰も知らない
この曲はグレゴリーペックが出ている、オーメンという古いオカルトホラー映画のデミアンのことを歌っているのでしょうか。
残虐な言葉や、暴力的な表現は決して無いのですが、デミアンという単語を出すだけで一気に不吉なイメージになる。その効果を狙ってか、歌詞はかなり抽象的。
しかし、悪魔的なイメージは先入観を以てこの曲に印象付けているのです。
始まりはトライバル(民族調)な感じなドラムと愉快なベースで明るいイメージなのですが、ギターが入ってくるとだんだんと不穏な雰囲気に。そしてブレイクを挟み、一気に爆発。ドラムが暴れます。そしてイントロのテーマに戻るのですが、最初とは全く違った印象なのです。
そしてマイナーコードになり歌が入る。
以下、歌詞になります。
 
おお デミアン
ガラス瓶に月 古い訛りの唄
汽笛は夜を撃ち それでも僕はここにいる
 
おお デミアン
孤独におびえて 神を乞うなら
デミアン 笑わずにお前のそばにいてやる
 
月におおかみ
その肌は夜と同じく美しい

おおデミアン
花を踏み損ねた古靴のひも
政治家
むなしき愛
 
すべて、
そう僕のせいだ

 
 
ギターソロからの大サビは、その悪の華といいましょうか、いけないものに美しさを見出してしまうような陶酔感に酔いしれることが出来ます。
Youtubeとかにあがっていないので、ここに貼ることは出来ませんが素晴らしい曲です。
 
 
特別枠は、ドロロニカKISS KISS PISTOL
これは僕のバンドの曲です。恥ずかしいので説明はしないですが、今年2012年の11/14に僕のバンドのファーストアルバム『コンバットアイドル』が発売されまして、そっからの一曲です。よろしければ聞いてみてください。

 
 
以上が今、思い出せる範囲のベストオブ2012になります。
 
それでは皆さん、よいお年を。

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