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ドレスコーズ – バンド・デシネ

月曜日, 11月 18th, 2013 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。

ドレスコーズの二枚目のアルバムとなる『バンド・デシネ』が11/6に発売されました。
このバンドのことは以前このブログでも紹介したことがあります。

2ndアルバム『バンド・デシネ』
●初回生産限定盤COZP-808-9 ¥3,465(税込)
●通常盤COCP-38213 ¥2,940(税込)
CD収録曲:
1.ゴッホ
2.どろぼう
3.Zombie (Original Ver.)
4.ハーベスト
5.トートロジー
6.シネマ・シネマ・シネマ
7.Silly song, Million lights
8.Eureka
9.(She gets) the coat.
10.Teddy Boy
11.We are
12.バンド・デシネ

初回盤DVD:【Live at 日本青年館(2013.3.8)】
1. 誰も知らない
2. TANGO, JAJ
3. Puritan Dub
4. ストレンジピクチャー
5. レモンツリー
6. Automatic Punk
7. ベルエポックマン
8. Trash

ドレスコーズ(the dresscodes)は、日本のロックバンド。
毛皮のマリーズでボーカルを務めた志磨遼平を中心に結成され、
2012年にメジャー・デビューを果たした。(wikipediaより)

dresscodesbandedesine

今回のアルバム、バンド・デシネとはおそらくベルギー・フランスの漫画一派bande dessinée(バンド・デシネ)からそのまま引用された言葉だと思います。
バンド・デシネは、平たく言うと、漫画を子どもの為の娯楽だけに留めず、一つの芸術的表現方法とするものなのですが、このドレスコーズのアルバム『バンド・デシネ』を聞いて「なるほど」と呻ってしまいました。

とにかく美しさがあるのです。
所謂ロックンロールという音楽は所詮ティーンの為の反抗音楽だというイメージがありますが、ここまで美しくロックンロールを奏でる日本のロックバンドは少ないのではないでしょうか。
決してベテランではなく新人バンドである彼らが、ここまでシンプルに洗練されたロックンロールを演るとは驚きました。

それはデビューアルバムである前作からもいえることですが、前作にはおそらくリーダーであるフロントマン志磨遼平が以前やっていた正統派ロックンロールバンド『毛皮のマリーズ』からのカウンター的な意味合いが多少なりともあったはずです。
毛皮のマリーズの「燃える青春のようなエモーショナル」からの、どこか「殺風景で退廃的で混沌とした奇妙な世界」なので当然そういった意味合いの衝撃も強かったがします。
そう考えて、今回のセカンドアルバムは初めてフラットにドレスコーズを聞ける音源なのですが、それでも尚且つ一味違うと思わせた彼らには驚きました。

ズバ抜けたセンスの持ち主である楽器隊に、カリスマ性のあるロックシンガーであり詩人でもあるフロントマン。
彼らのやっている音楽は、アイデア次第でどんなものも音楽になり得るというような、ある種、実験的で偶発的な”結果”なのではないのだと思います。
実験は実験でも無駄なものを全て削ぎ落とした上で洗練させる”過程”の素晴らしさも感じさせる一つの完成系なのだと思います。
曲からもワンマン志向ではなく、各メンバーの主張が絶妙なバランスに折り重なっているのが感じられます。
そして、フロントマン志磨遼平の作詞のセンスもますます磨きが掛かったような気がします。

(特典DVDがそれを物語る)ビッグバン的な混沌が前作だったとしたら、今回は彼らでしか出来ないロックンロール。
元々卓越していたそのメロディセンスも更に磨きがかかりました。
新鮮なのですがどこかノスタルジーを感じさせる彼らのロックンロールはどこか夕日が似合う気がします。
全体的にポップな曲調の多いこのアルバムですが、そのどのメロディも耳にすんなり入るが、素通りさせない魅力もはらんでいます。
あくまでそのメロディは、ポップスの中のポップさではなく、ロックの中のポップさなのが嬉しい。
バンドのタイプは全然違うのに、Hanoi Rocksの最初期のこういう雰囲気があるのです。

ドレスコーズ@名古屋CLUB QUATTRO

月曜日, 3月 11th, 2013 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。

先日、以前ブログで紹介しましたバンド、ドレスコーズのライブを見てきました。
栄のクラブクアトロという名古屋では大きい方のライブハウスだったのですが、会場は満員でした。
お客さんの年齢層は毛皮のマリーズの頃より高めのように感じられたのですが、気になったのは圧倒的に女の子の数が少ないということです。毛皮のマリーズの頃は半分くらいが女の子で、女子高生も結構いた気がしたのですが、女子高生の姿はほとんど無かったです。
その代わりにおじさんもちらほら。
それほどドレスコーズは渋い印象だったようです。
 
開演時刻を過ぎたところで、ベルベット・アンダーグラウンドの『オール・トゥモローズ・パーティーズ』がSEで流れ出す。

なるほど、たしかにドレスコーズにはこういう雰囲気がある。
毛皮のマリーズの頃はエディット・ピアフの『愛の讃歌』でピッタリだったが、ドレスコーズには『オール・トゥモローズ・パーティーズ』がピッタリでした。
しかし、開演前のBGMが、昔はガレージパンクだったり、ビートルズだったりと、60年代のイメージが強かったのですが、今はスミスとかブロンディとかそういった80年代の雰囲気で、明らかに昔とは違う雰囲気でそれも良かったです。
 
そして、ボーカル以外のメンバーが登場し、ギターのフィードバックが響き渡り、激しいノイズから始まる。そしてボーカルが登場する。暗いマフラーで鼻と口を覆い隠し、首周りが伸びに伸びたボロボロのTシャツを着た、ガリガリの大男は、例えるなら海賊でした。
しかし、大手メジャーの日本コロムビア所属のバンドとはとても思えない。
毛皮のマリーズの頃はピョンピョンはねていたお客さんも結構大人しく聞いている。
MCも、マリーズ時代は「僕らが未来を切り開くんだ!」といったポジティブな感じだったですが、少しナメ腐ったような態度でクールになっていました。

そしてアルバムの曲だけではなく、新曲も披露。新曲やります、と言ってまたマリーズみたいな軽快なロックンロールをやられたらどうしようと思ったが、なんだかストーンズのマザーズ・リトル・ヘルパーを髣髴とさせる陰鬱な曲で、最高でした。この新曲が一番かっこいいんじゃないかと思ったくらいに良かった。

他にも計三曲くらい新曲をやっていたと思います。
しかし、トラッシュやロリータなどの比較的アップテンポなシングル曲の時にだけ、人差し指を天に上げてノリノリになるお客さんはもう少し踊り方を覚えてほしい。
 
とにかくマリーズとは全く別物のライブを見ることが出来てよかったです。
武道館出るようなバンドを解散させて、新しく組んだだけあるような気がしました。
あのポップさはなんだったんだろう、それはまるで悪魔の宴でした。
初期衝動を抜けて、明らかにネガティブな音楽になったのですが、なんともいえない清々しさがあるのです。
 
しかし、どうなんでしょう、ドレスコーズ。恐らく毛皮のマリーズファンは離れてゆくばかりだと思うのですが、新しいファンも増えていってほしいです。
そして、毛皮のマリーズを下手なロックンロールバンドだと、食わず嫌いしている人にこそドレスコーズを聞いてほしいと思いました。
真新しい音楽をやっているようだが、実は全然そんなことなく(勿論良い意味で)古臭い音楽をやっているバンドはそういないと思います。
とにかく良かったですドレスコーズ。
僕は毛皮のマリーズより断然ドレスコーズの方が好きです。
 

ベストオブ2012

月曜日, 12月 31st, 2012 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。
今回は2012年最後の投稿ということで今年を少し振り返ってみようと思います。
 
今年はいろんなことがありました。
今年読んだ、聞いた、見たものでよかったものランキングを書きます。
思い出せられる範囲で。
 
 
漫画部門
三位・・・サイボーグ009(石ノ森章太郎)
二位・・・ポーの一族(萩尾望都)
一位・・・カムイ伝(白戸三平)

 
サイボーグ009はブックオフで立ち読みしたのをきっかけに読み始めました。
これについては前の記事でも触れたのでよしとしましょう。
ポーの一族は友人のススメで読んだのですが、すごく良かったです。
僕は少女マンガというものを全然読んだことないのですが、ポーの一族は面白かった。
吸血鬼の少年エドガーと友人アラン、そしてエドガーの妹メリーベル巡る悲しく切ない物語です。
インタビューウィズヴァンパイアという映画を思い出しました。
サスペンスものやホラーもの、最近だとサバイバル系だったりバトル系の吸血鬼漫画はよくあるのですが、こういう吸血鬼として永遠の時を生きてゆく苦しみや切なさを描いた作品はあまり見かけません。
こういうのを待っていたんだって感じでした。
 
カムイ伝はずっと読もうと思っていて読んでなかった漫画です。
少し前に松山ケンイチ主演でカムイ外伝という映画がありましたが、一応それの前の話です。
ダントツの一位です。忍者の漫画というイメージで読み始めたのですが、そんな忍者モノみたいなジャンルでくくれない漫画です。
なんというのでしょう、忍者というものが職業やキャラクターの肩書きではなく、生きる手段というか、主人公カムイの生き方です。
この漫画には、それぞれ身分の違う主人公が三人います。
非人のカムイ、農民(下人)の正助、武士の草加竜之進。
それぞれの主人公が少年から青年になるまでの苦悩しながら成長してゆく姿を描く、”生きる力”を描く、名作だと思います。
 
 
 
映画部門
三位・・・ぼくのエリ 200歳の少女
二位・・・アメリカンサイコ
一位・・・ダークナイトライジング

ぼくのエリは、2008年のスウェーデン映画です
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストによる2004年の小説『MORSE -モールス-』を原作者自らが脚色した吸血鬼映画です。
これまたバンパイア物。
しかし、バトルものでもなければ、ホラーでもない、永遠に生きる苦しみを描いたヒューマンドラマ(いや、バンパイアドラマか)でもないです。
なんなんでしょう、単純にラブストーリーになるんでしょうか。
なんでしょう、この気持ち。言葉にならない感じ。
なんというか、悲しいとも違う。悲しいんだけど、でも違う。
それはこの日本語にしかない言葉、“切ない”がピッタリだと思いました。
それは恋愛的な、恋焦がれすれ違い出会い別れ云々の切なさではないのです。
ただ切ないとしか表現できない切なさ。
感動的でも悲しいわけでもないのに、エンドロールでは何故か泣いてしまいました。

アメリカンサイコは少し前の記事でも触れましたサイコスリラーです。
クリスチャンベールの演技が見事です。本当に怖ろしいのです。
なんというか、主人公は狂人なのですが、それを抑えている感じがリアルなのです。
本当にクリスチャンベールは狂人なのではないかと思ってしまいました。
 
そして、ダークナイトライジング
これまたクリスチャンベールです。クリストファーノーラン監督が描くバットマン、ダークナイトシリーズ三部作の完結編です。
これは大好きなシリーズなのでいずれまた詳しく書きたいと思います。
 
 
 
音楽部門
四位・・・優しい悪魔/キャンディーズ
三位・・・Doom and Gloom/The Rolling Stones
二位・・・裸のビーナス/郷ひろみ
一位・・・誰も知らない/ドレスコーズ
特別枠・・・KISS KISS PISTOL/ドロロニカ

 
このランキングは、よく聞いたランキングというより、印象的だった、または衝撃的だったという曖昧な感想のランキングです。
 
キャンディーズ優しい悪魔
吉田拓郎作詞作曲のこの曲ですが、まずタイトルが秀逸だと思います。
こういう相反するような言葉をくっつけて独自の存在を作ってしまうのは、僕は好きです。
これは何かの歌番組か何かのようですが、歌は勿論、オケも生バンドのライブ演奏。
何か演奏もかっこいいのです。
イントロが終わって、Aメロに入るとドラムがハイハットを叩き始めるのですが、ベースラインも相成って、その怪しげでチープなリズムと、ミキちゃんの踊りが妙にマッチしているのです。そしてそのあとのスーちゃんのイッチョメイッチョメは何か漫画の犬みたいな顔になっている。僕はこの三人の中だったらスーちゃんが一番可愛いと思います。しかし、この映像のランちゃんはとても可愛い。
二番の「ばら色ぶどう酒に花びら浮かべば」の「浮かべば」の歌い方がこの映像におけるランちゃんの可愛さを物語ります。
 

The Rolling StonesDoom and Gloom
これは今年出されたストーンズの50周年ベストアルバムに収録された新曲です。
大して期待はしていなかったのですが、いざ聞いてみるとむちゃくちゃかっこいい。
ストーンズはやっぱマイナー調な曲がかっこいいと思います。
PVではミックジャガーの変な踊りも健在。顔さえ隠せば20代の頃とそんなに変わらないんじゃないかと思ってしまうほどです。

 

郷ひろみ裸のビーナス
郷ひろみはキャラも良いですし声も良いですが、何より曲が良い。昔のですが。
この曲は基本的に上からものを言っていて、キザでかっこいいです。
「どうしたの、着いて来ないのかい?お日様が見てるだけだよ」という歌い出しがたまらなくクサくて、ロマンチックで、時代を感じさせますが、これこそ現代のポップスが失ってしまった宝だと思います。
この映像は、可愛いアグネスチャンが郷ひろみを紹介する際にワンコーラス歌っています。
 
 
ドレスコーズ誰も知らない
この曲はグレゴリーペックが出ている、オーメンという古いオカルトホラー映画のデミアンのことを歌っているのでしょうか。
残虐な言葉や、暴力的な表現は決して無いのですが、デミアンという単語を出すだけで一気に不吉なイメージになる。その効果を狙ってか、歌詞はかなり抽象的。
しかし、悪魔的なイメージは先入観を以てこの曲に印象付けているのです。
始まりはトライバル(民族調)な感じなドラムと愉快なベースで明るいイメージなのですが、ギターが入ってくるとだんだんと不穏な雰囲気に。そしてブレイクを挟み、一気に爆発。ドラムが暴れます。そしてイントロのテーマに戻るのですが、最初とは全く違った印象なのです。
そしてマイナーコードになり歌が入る。
以下、歌詞になります。
 
おお デミアン
ガラス瓶に月 古い訛りの唄
汽笛は夜を撃ち それでも僕はここにいる
 
おお デミアン
孤独におびえて 神を乞うなら
デミアン 笑わずにお前のそばにいてやる
 
月におおかみ
その肌は夜と同じく美しい

おおデミアン
花を踏み損ねた古靴のひも
政治家
むなしき愛
 
すべて、
そう僕のせいだ

 
 
ギターソロからの大サビは、その悪の華といいましょうか、いけないものに美しさを見出してしまうような陶酔感に酔いしれることが出来ます。
Youtubeとかにあがっていないので、ここに貼ることは出来ませんが素晴らしい曲です。
 
 
特別枠は、ドロロニカKISS KISS PISTOL
これは僕のバンドの曲です。恥ずかしいので説明はしないですが、今年2012年の11/14に僕のバンドのファーストアルバム『コンバットアイドル』が発売されまして、そっからの一曲です。よろしければ聞いてみてください。

 
 
以上が今、思い出せる範囲のベストオブ2012になります。
 
それでは皆さん、よいお年を。

ドレスコーズ

月曜日, 12月 10th, 2012 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。
先日、日本コロムビアから、ドレスコーズというバンドのファーストアルバムが発売されました。
ドレスコーズとは、依然『毛皮のマリーズ』というバンドをやっていた志磨遼平が新しく結成したバンドです。

僕は、毛皮のマリーズがまだキャパ200人くらいのそんな大きくないライブハウスでやっていた駆け出し頃からのファンでありまして、彼らの音楽は平たく言うと、所謂”古いオールドスクールのロックンロール”を愛しすぎてそのままやってしまったというものです。
僕は当時18歳、「俺は人とは違うんじゃ~」という意識で、そういう所謂ロック!って感じの音楽からは離れ、アバンギャルドな音楽に憧れていました。
しかし、元々好きな音楽は、ローリングストーンズから始まり、イギリスのデヴィッドボウイやティーレックス、アメリカのイギーポップやルーリードやニューヨークドールズ・・・などの危なっかしくも美しい、下品でいて崇高、暴力的だが可愛い、そして毒々しく清々しい、そんな音楽でした。

その当時、東京では9mmパラベラムバレットなどが所属する残響レコードなどに代表されるスタイリッシュでストイックなギターロック、
関西ではボアダムスから始まり、あふりらんぽ、オシリペンペンズ、ワッツーシゾンビなどの関西ゼロ世代といわれる日本人の土着的な感性のヘンテコ系バンドが人気を博していました。
その関西の音楽がなんともアバンギャルドでパフォーマンスも面白くて僕はハマっていて、ある日、名古屋にオシリペンペンズ、ワッツーシゾンビらが大阪から名古屋に来るというのを知り、ライブを見に行ったのです。
ワッツーシとペンペンズを見終わり満足した僕、次のバンドは東京から来た毛皮のマリーズってバンドか、寺山修司が好きなのかな?暗くて怪しいおどろおどろしいバンドなのかな?と考えていたその時、会場にエディットピアフの『愛の讃歌』がSEで流れ出した。
クールなギターがギターのノイズをフィードバックさせる、可愛い女のベースと太ったドラムが激しいリズムを刻みだす。そして、おそらく身長180cm以上あるであろう長身で、心配になるほど痩せた、長髪の、鷲鼻の男が、突然ステージに飛び出したのです。

彼は、腰に手をやりポーズを決めて、真っ赤な口紅が塗られた大きな口を開けて歌いだしたのです。
僕はショックでした。人とは違っていたいという理由(勿論それらが好きなのであるが)でアバンギャルドな音楽に憧れていた僕はショックを受けたのでした。
「君の本当に好きなのはコレなんだろう?」
そんな声が聞こえてきそうでした。
ニューヨークドールズの頃のジョニーサンダースのようなルックスに、声質はジョンライドン、しかし歌は上手い。マークボランのようなビブラート。
イギーポップのようにステージを転げまわったと思えば、ミックジャガーのように腰をクネクネさせて踊りだす。そしてデヴィッドボウイのように両手を広げて歌い上げる。
妖しいミックジャガー?危なっかしいイギーポップ?無邪気なマークボラン?下品なデヴィッドヨハンセン?はたまた崇高なデヴィッドボウイ?
志磨遼平、彼には全ての要素があった。
「こ、こいつはロックの化身だ!」
僕はとにかくショックを受けたのです。

それ以来、彼らが東京から名古屋へライブしに来る度、見に行きました。サインもらって、自分のやっているバンドのデモ音源を渡したのは良い思い出です。
ライブへ行く度、お客さんの数が増えていき、最初は四バンド、五バンドのブッキングだったが、次第にツーマン、そしてワンマンに。
2010年、彼らはついにメジャーデビューし、メディアにもよく出るようになりました。
この頃からチケットが取りづらくなり、あまりライブに行かなくなっていったのです。
しかし、相変わらずアルバムは追って買っており、メジャーデビューしてから三枚目、インディーズも含めれば六枚目のアルバムが2011年の12月に発売されました。
そのアルバムは発売されるまでトラックリストなどの情報はおろか、アルバムタイトルすら一切公開されておらず、発売日当日、情報が解禁され、そのアルバムの名は『THE END』。
そう、彼らのラストアルバムであったのです。
そして同時に発表された、日本武道館公演。それを最後に毛皮のマリーズは解散したのでした。

僕が始めてリアルタイムで追った正真正銘のロックバンド、その早すぎる解散にまたまたショックを受けた僕でした。
毛皮のマリーズ、それはまるで僕の青春、魔法のようなバンドです。
21世紀、このご時勢、日本の音楽界に、とびっきり危険で切ないキラキラしたロックンロールを奏でてくれたのは今でも信じられません。
志磨遼平本人も雑誌のインタビューで
毛皮のマリーズは僕にとって“祈り”であり、特別な才能が無くても、音楽が好きで続けていれば誰でもメジャーデビューできて、日本武道館でライブが出来る、という”祈り”を証明したバンド
というようなこと言っており、なかなか、いや、かなり感慨深かったです。

そして、間髪入れずに結成されたバンド、ドレスコーズ
まずバンド名からして、違った印象が感じられました。
『毛皮のマリーズ』というバンド名からも分かるように、毛皮のマリーズにはある種のテーマ性があった思います。古い、既存の、みんなが憧れた、かっこいいロックンローラー像を体現するバンドであったが、ドレスコーズという名前は、もっと大きなイメージが感じられます。
テンプレート化された既存のロックンロールが普段着なら、ドレスとは一体どんな音楽になるのでしょうか?
そう思うと、さらなる上のステージに上がるようなイメージもあります。

少々前置きが長くなってしまいましたが、そんなドレスコーズのファーストアルバムが、12/5に発売されました。

1st Album『the dresscodes』

初回限定盤【CD+DVD】
COZP-735~6 ¥3,360(tax in)

通常盤【CDのみ】
COCP-37693 ¥2,940(tax in)

M-01 Lolita
M-02 Trash
M-03 ベルエポックマン
M-04 ストレンジピクチャー
M-05 SUPER ENFANT TERRIBLE
M-06 Puritan Dub
M-07 Automatic Punk
M-08 リリー・アン
M-09 レモンツリー
M-10 誰も知らない
M-11 (This Is Not A)Sad Song
M-12 1954

近所のTSUTAYAで初回版を購入してきました。
帰り道、カーステレオで聞きながら帰ったのですが、一曲、二曲、三曲・・・うわー、かっこいいな。四曲、五曲・・・とっくに家には着いているのですが、その場を離れることが出来なかったのです。

アルバムが進むに連れ膨らむ、明らかな違和感。
予想を上回る、いや予想に”反する”と言った方が正しいでしょうか、そんな衝撃があるのです。
毛皮のマリーズがセックスピストルズなら、ドレスコーズはPIL?違うか。そんなベタな例えは不要とすら聞こえてきそうです。
毛皮のマリーズがロンドンの裏通りで行われるパーティなら、ドレスコーズはイタリア南部の郊外で起きた事件・・・よく分からない例えですけどそんな印象です。
夜明け前の荒野にて、言葉もなく馬を引いて歩いている男たちって感じ。

歌が明らかに上手くなっている。歌詞が洗練されている。
ギターがギャンギャンでなんか変だ。変わった音階を使っているようにも聞こえる。
ベースがブリンブリンで踊れる。
ドラムはキースムーン?いやフリージャズ?ドタバタしているがタイトで気持ちいい。
とにかく演奏がすごい。ちゃんと勝負している感じがします。

これがメジャーのしかも大手の日本コロムビアから出ているのか・・・こんなアバンギャルドでいてポップな、ノスタルジックだが真新しい、親しみやすいが狂気的、震えるような音楽です。
アルバムを聞き始めた印象と、聞き終わった時の印象が大きく違うというのはよくありますが、曲単位でそれが体験できるのはなかなかない気がします。
『ロック』という、くくるには大きすぎるジャンルでもくくりきれないような音楽だと思います。
古いロックが好きな人にも勿論いけますが、東京事変とか椎名林檎が好きな人にもいける気がします。

毛皮のマリーズは「僕はこんな音楽たちが大好きなんです」という自己紹介だったのなら、
ドレスコーズは「では僕はこういう音楽をやります」という明らかな攻めの姿勢が感じられました。

なんだか長々と熱く語ってしまいましたが、おそらく日本のロック史に一石を投じるようなバンドであると思います。

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