月曜日, 5月 13th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
ずっと見ようと思って見れていなかったダニー・ボイル監督の『サンシャイン2057』という映画を見ました。
ダニー・ボイルは、ユアン・マクレガー主演の青春映画『トレインスポッティング』や、レオナルド・ディカプリオ主演のサスペンス映画『ザ・ビーチ』、ゾンビ映画の歴史に新しい風を吹かせた『28日後…』、第81回アカデミー賞での作品賞を含む8部門を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』など数多くのヒット作を多発する映画監督です。
僕が最初に見た作品は『トレインスポッティング』です。トレインスポッティングは分かりやすく、UKロックな雰囲気の映画で、高校生の頃、特に何も考えずに「かっこいいな~」なんて思いながら見ていました。麻薬でトリップした感覚世界のイメージを映像にしており、その幸福感や絶望感が分かりやすく伝わってくるのです。ユアン・マクレガー演じるレントンが、ルー・リードの『パーフェクイトデイ』をバックにどこまでも沈んでゆくシーンはすごく印象的でした。
ディカプリオ主演の『ザ・ビーチ』も良かったです。当時タイタニックで大ブレイクしたディカプリオが、次はどんな映画に出るのか期待されていた中、100本以上のオファーを蹴ってまで出演を決めた異色作がザ・ビーチなのですが、これはなかなか大きな賭けだったのかもしれません。
日本でも、レオ様、レオ様とアイドル的な人気を博していた彼が、当時まだ世界的にはマニアックなイギリス人監督の、しかもサスペンス的な映画に出るとは、ファンは困惑したことでしょう。
僕がダニー・ボイル監督の映画の中で一番面白いと思ったのが、ゾンビモノのホラー映画『28日後…』です。
ゾンビといえば呻き声を上げながらノロノロと集団で迫りよってくるイメージですが、この映画でのゾンビは何と走ります。走るゾンビはゲームの『バイオハザード』でタイラントというラスボスが全力疾走するのを見て「こんなの反則だ!恐すぎる!」と思ったものですが、ここでのゾンビはすべてが走るゾンビです。
往年のゾンビ映画ファンからは、ゾンビはノロノロと歩くものだ!とこの走るゾンビには反対する人が多いのですが、僕としては全然アリだと思いました。
ただ、元々ゾンビは呪いやらなんやらで、墓場から蘇った死体ですので、当然肉体は腐っており、それを考えたらノロノロと歩く方が自然というか、ノロノロとしか歩けなさそうなのですが、28日後のゾンビは、腐った死体ではなく、ウイルスによって”理性を失い極限にまで凶暴化した人間”であり、そう思えば走っても全然おかしくはないなぁ、と思ったのです。
それと、ただ終始追われているパニック感だけでなく、放心状態の一瞬を、その絶望的な風景を、すごく空虚に、且つ爽やかに撮っており、そこもただのホラー映画として片付けるのはもったいないくらいに良かったです。
あと、キリアン・マーフィ演じる主人公ジムが怪我とかじゃなく、大事な時に普通に頭痛くなったりするリアルな感じも面白かったです。
しかし、この映画、前半のハイスピードなパニックも良いのですが、何より後半がすごいのです。
“理性を失い極限にまで凶暴化した人間” とはゾンビなのか、我々残された人間なのか。
タランティーノばりの爽快なバイオレンスで煽りまくり、最後はこの上ない爽やかさで締めくくってくれます。
そして、今回見た『サンシャイン2057』も主演は28日後…と同じキリアン・マーフィ。ちなみに、日本人俳優の真田広之も出演しております。
キリアン・マーフィはおそらくまだブレイクってほどブレイクはしていない俳優だと思うのですが、最近はインセプションやダークナイトシリーズでお馴染みのクリストファー・ノーラン監督に気に入られ、彼の映画で多数起用されたりしており、知っている人も少なくはないと思います。
サンシャイン2057は何だか不思議な映画でした。おそらく賛否両論分かれる映画だと思うのですが、僕的には賛成でした。
あらすじはこちら。
太陽が衰え人類が滅亡の危機に瀕している近未来(2057年)を舞台に、核爆弾で太陽の活動を蘇らせるために、宇宙船イカロス号で太陽へ向かった8人の乗組員を描いたSF映画。また、イカロス1号の遭難をめぐるホラー・サスペンス的な要素も含まれている。 (wikipediaより)
終始ハラハラさせられ、息が苦しくなります。
この映画、僕はすごく良かったと思ったのですが、どんな感じ?と感想を聞かれるとすごく困る映画でもあるのです。
全然違うジャンルですし、それぞれ意味合いは異なってくるのですが、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』を見た後に近いような感覚を覚えました。
なんというかツッコミどころが多すぎて、逆に何も言えない、と言いますか、これで「完」って言われたら、もう何も言えない感じがあるのです。
とにかく不思議な映画で、僕は好きです。
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月曜日, 1月 28th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
以前、クエンティン・タランティーノの映画について触れましたが、その相棒的なイメージがあるロバート・ロドリゲスの『プラネット・テラー』、『マチェーテ』を見ました。
ロバート・ロドリゲスは、ファミリー向けSFアドベンチャー映画『スパイ・キッズ』シリーズや、B級サスペンスホラー『パラサイト』や、アントニオ・バンデラス主演のアクション映画『レジェンド・オブ・メキシコ(デスペラード)』シリーズが有名なのではないでしょうか。

プラネット・テラーは、クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが、古いB級映画ばかりを上映していたグラインド・ハウスという映画館に敬意を込めて、そういう映画を現代に作ろう!という企画の2本立て映画『グラインドハウス』(Grindhouse)の一編です。
ジャンルはアクションゾンビモノです。
でもホラーな要素はあまりなく、どちらかというとコメディな感じ。
ただ、頭が吹っ飛んだり、体が滅裂に引き裂かれたり、グロテスクな描写が終始続きます。
おバカなアイデアを真面目にやっている感じが面白かったです。
あらすじ(wikipediaから引用)
テキサスの田舎町のある夜、J.T.(ジェフ・フェイヒー)のバーベキュー・レストランにやって来たゴーゴーダンサーのチェリー・ダーリン(ローズ・マッゴーワン)は、元恋人の解体屋レイ(フレディ・ロドリゲス)と再会した。その頃、軍の部隊長マルドゥーン(ブルース・ウィリス)と生物化学の科学者アビー(ナヴィーン・アンドリュース)の取り引き中に、生物兵器DC2(コードネーム「プロジェクト・テラー」)のガスが噴き出してしまう。町中にDC2が拡がり、感染者がゾンビと化して人々を襲い始めるのだった。
・・・何というか、このあらすじだけでは何のことか全く分からないほどバカバカしいです。勿論、良い意味で。
アクションシーンは流石で、テンポよく、アナログ派のタランティーノに対する、デジタル派のロドリゲスらしく、見ていて気持ち良いです。
ただ、グラインドハウスのもう一編、『デス・プルーフ』が良すぎただけに、どうしても見劣りしてしまいそうですが、デス・プルーフがシリアスでハラハラドキドキのパニック系アクションだったので、それに相対する、おバカでくだらないホラーアクションのプラネット・テラーだと思えば、ちゃんと役割をこなしていて良いのかもしれません。
マチェーテは、メキシコとテキサスを舞台としたバイオレンスアクション。
この映画はもともと上記のグラインドハウスの公開時に作られた偽物の予告編(映画の雰囲気を出す為に作られた架空の映画の予告編)だったのですが、実際に作ったというもの。
元々、ロドリゲスの中で温められていたアイデアだったらしく、これぞロバート・ロドリゲスって感じな映画に仕上がっています。
あらすじ(wikipediaから引用)
メキシコの連邦捜査官のマチェーテは、マチェーテを愛用して犯罪者を狩る凄腕の男だった。だが、その強い正義感ゆえに麻薬王トーレスと衝突し、妻娘を惨殺される。
それから3年後、マチェーテはアメリカのテキサスで不法移民の日雇い労働者をしていた。ある日、マチェーテはブースという男から不法移民嫌いで知られるマクラフリン議員の暗殺を依頼される。
メキシコ系アメリカ人のロバート・ロドリゲスらしい、ラテン感溢れる空気と、デンジャラスなアクションが爽快な映画でした。
何といっても役者が良かったです。
主役のマチェーテを演じるダニー・トレホは本当にこの役の為にいるんではないのかというような印象。不器用で過激だが実は優しい正義漢がピッタリでした。
それに、悪役の一人、メキシコからの移民を弾圧する上院議員マクフラリン役は、何とロバート・デ・ニーロ。
ヒロインの一人、マチェーテを捜査するI.C.E捜査官サルタナを演じるのは、ジェシカ・アルバ。
もう一人のヒロインである、普段はただのタコス売りだがその正体は移民のために戦う女革命戦士ルースを演じるのは、ミシェル・ロドリゲス。
更にもう一人のヒロインをリンジー・ローハン。
悪役の一人、メキシコからの移民を狩る男をドン・ジョンソン。
そして、悪の大玉、麻薬王トーレスを演じるのは、何とあのスティーブン・セガール。
何を隠そうセガールが悪役を演じるのはこの映画が初めてだそうですが、その割りにはすごいハマっていました。
あの見るからに強くて恐そうな顔、銃弾も跳ね返しそうな屈強な体格、そして溢れ出ている胡散くさい雰囲気・・・よくよく考えてみれば、悪役の方が合っている気がします。
役者はみんな最高で、ストーリーも良かったのですが、何よりテキサス/メキシコの殺伐とした雰囲気を分かり易いイメージで描いていて良かったです。
このマチェーテは、続編となる『マチェーテ・キルズ(邦題/殺しのマチェーテ)』が今年公開される予定(日本では来年か?)でとても楽しみです。
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