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月曜日, 8月 12th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦 の著書である、
『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』 という本を読みました。
普段僕はあまり小説やエッセイなどの活字本を読まないので、一冊読みきるのはかなり久々でした。
漫画の連載を抱えている彼ですが一体いつの間に書いたのかよく分かりませんが、この本では主にサスペンス映画についての評論が書いてあります。
彼の漫画であるジョジョには、洋楽アーティスト同様、洋画からも様々なオマージュが登場します。
あるシーンではスティーブン・スピルバーグ監督の初期の作品『激突!』 がそのままバトルシーンとして描かれていたり、ホラー映画『チャイルド・プレイ』 のチャッキーのような呪いの人形の敵や、主人公が敵の攻撃でクリストファー・ノーラン監督の『メメント』 と同じような状況に陥ったり、よくパクリとか言われたりしていますが、この本を読むと、
その作品たちに対しい彼がいかに敬意を持っているかというのが熱いほどに伝わってきます。
現在彼は『ジョジョリオン』を執筆中ですが、前シリーズの『STEEL BALL RUN』 では特に映画的な描写や表現が多く、個人的には大好きなジョジョシリーズの一つです。
この本の中に「名作の条件とは『男が泣けること』」 という言葉があるのですが、
僕はそのことに対しすごく共感を得ました。
僕は、映画でも何でも“グッとくるツボ” があり、それを上手く言葉で表現できなかったのですが、それがまさに「男が泣けること」だったので、読んでいてとても面白かったです。
なんというか女性には分からないといったら御幣があるかもしれないですが、
たとえば、何かの選択を迫られたとき、男は損得の関係なしに(むしろ損なのかもしれないが)、あえて困難な道を突き進むことがある・・・僕はこれが男が泣ける瞬間だと思いました。
なんというのでしょうか、「いや~絶対そっち行っちゃヤバイよ、こっち行けばとりあえず助かるのに、うわ~・・・」みたいな展開があったとします。
そこで男は、あえて行くのです。
その選択をしてしまえば、自分が酷い目にあったり、死んでしまったり、また何かを失ったり、するかもしれない。
しかし、男が、男の中で完璧に”納得できる答え”を得るためには、すべてを覚悟し行かなくてはいけない・・・というのがグッとくるのです。女の人だとおそらく「え?なんで行くの?絶対やばいのに?」と理解を示してくれなかったりしそうですが、男はこの選択に涙を流し、賛同するのです。
「それでこそ男だ」と。たとえ死んでしまったとしても見ているこっちは勝利にも似た感動を覚えるのです。
ほとんどこの本で書かれていることの受け売りみたいな文になってしまいましたが、
本当に「そうそう、こういうことなんだよ~!」と鳥肌立たせながら読みました。
この本を読んでいて、驚いたのは彼が意外と文章を書くのが上手い、ということ。
前著である『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』 も勿論面白かったのですが、今回の方がより作品に対する熱意が伝わってきて、おかげで見てみたい映画がむちゃくちゃ増えてしまいました。
何か映画みたいけど、なんか面白い映画ないかな~と思っている人がいましたら、
是非読んでみたらいいかもしれません。
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月曜日, 5月 27th, 2013 | Permalink
こんばんは、エーブックスタッフの水野です。
先日、マット・デイモン 主演のアクションサスペンス映画、ボーンシリーズ を一気に見ました。
といっても、外伝(新シリーズ?)的な4を除く、マット・デイモンが出ている1~3までです。
第一作目の『ボーン・アイデンティティ』 は昔見たことあったのですが、ほとんど内容を覚えていなかったため、また1から見直しました。
以下、ボーンシリーズの概略です。(wikipediaより)
『ボーン』シリーズは、作家のロバート・ラドラムが創造した、心因性健忘に苦しむ架空の元CIA暗殺者、ジェイソン・ボーンを主役としたスパイ映画である。
脚本はそれぞれ、ラドラムの3冊の小説を原作としており、ジェイソン・ボーンを演じるのはマット・デイモンである。
第1作『ボーン・アイデンティティー』 (2002年)はダグ・リーマン、
第2作『ボーン・スプレマシー』 (2004年)と第3作『ボーン・アルティメイタム』 (2007年)はポール・グリーングラスが監督し、
第4作『ボーン・レガシー』 はトニー・ギルロイが監督し、
4作品すべての脚本にギルロイが参加している。
本シリーズはCGIを用いたものが増えた近年のアクション映画とは対象的にリアリズムを重視していることで有名である。
以下は、あらすじです。
嵐の夜、地中海上にてある漁船が海上で男性が浮かんでいるのを発見し、これを救助する。
男は背中に2つの弾痕を負い、さらに記憶を失っており、唯一の手掛かりは皮膚の下に埋め込んであったマイクロカプセルが示すスイス銀行の口座番号であった。
さっそく男は銀行へ向かい、番号が示す貸金庫を開けると、そこで自分の顔写真が貼られたパリ在住の「ジェイソン・ボーン」 名義を始めとした、それぞれ名前の違う6個の偽造パスポート、大量の札束、そして一丁の銃を見つけた。
こうして記憶喪失のジェイソン・ボーンは自分が何者かを知るために動き出すのであった。
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この映画の見所はやはり、CGに頼らないアクション でしょう。スピーディで、パワフルで、見ていて気持ち良いのです。
このすっごく爽快なアクションシーンというのは、演出も勿論良いのですが、役者のアクションそのものもすごいのです。
本当に強そうですし、本当に痛そうです。
こんな人間に襲われたら、こっちがいくら拳銃持っていようが、一溜まりもないなぁと思わせてくれるのです。
三作目(ボーン・アルティメイタム)の暗殺者と戦うアクションシーンが本当にすごくて、僕はこのシーンが一番好きでした。
普通の映画にしたら、一つ(ワンシーン)の戦いでこんなに尺使うか?というくらい長いのですが、本当に強い二人のバトルなので、どちらもタフですし、拳銃を使わずに殴り合いなので、そうあっさり決まらないのです。
そこに一人守らなければいけない女もいるものですから終始ハラハラさせられるのです。
そしてストーリーも良かったです。
本当に謎が謎を呼ぶストーリーですので、一つバラすと次もバラさなくてはいけなくなるので、伏せておきますが、良かったです。
張りに張った伏線も、ちゃんと全て回収しており、サスペンスとしても良く出来ていました。
真正面からすごいアクションサスペンス映画を見れた気がして良かったです。
主演のマット・デイモンにとって、このボーンシリーズは今のところ彼にとっての代表作でしょうし、おそらく彼の役者人生を代表するシリーズになることでしょう。
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月曜日, 5月 13th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
ずっと見ようと思って見れていなかったダニー・ボイル 監督の『サンシャイン2057』 という映画を見ました。
ダニー・ボイルは、ユアン・マクレガー主演の青春映画『トレインスポッティング』 や、レオナルド・ディカプリオ主演のサスペンス映画『ザ・ビーチ』 、ゾンビ映画の歴史に新しい風を吹かせた『28日後…』 、第81回アカデミー賞での作品賞を含む8部門を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』 など数多くのヒット作を多発する映画監督です。
僕が最初に見た作品は『トレインスポッティング』です。トレインスポッティングは分かりやすく、UKロックな雰囲気の映画で、高校生の頃、特に何も考えずに「かっこいいな~」なんて思いながら見ていました。麻薬でトリップした感覚世界のイメージを映像にしており、その幸福感や絶望感が分かりやすく伝わってくるのです。ユアン・マクレガー演じるレントンが、ルー・リードの『パーフェクイトデイ』をバックにどこまでも沈んでゆくシーンはすごく印象的でした。
ディカプリオ主演の『ザ・ビーチ』も良かったです。当時タイタニックで大ブレイクしたディカプリオが、次はどんな映画に出るのか期待されていた中、100本以上のオファーを蹴ってまで出演を決めた異色作がザ・ビーチなのですが、これはなかなか大きな賭けだったのかもしれません。
日本でも、レオ様、レオ様とアイドル的な人気を博していた彼が、当時まだ世界的にはマニアックなイギリス人監督の、しかもサスペンス的な映画に出るとは、ファンは困惑したことでしょう。
僕がダニー・ボイル監督の映画の中で一番面白いと思ったのが、ゾンビモノのホラー映画『28日後…』です。
ゾンビといえば呻き声を上げながらノロノロと集団で迫りよってくるイメージですが、この映画でのゾンビは何と走ります。走るゾンビはゲームの『バイオハザード』でタイラントというラスボスが全力疾走するのを見て「こんなの反則だ!恐すぎる!」と思ったものですが、ここでのゾンビはすべてが走るゾンビです。
往年のゾンビ映画ファン からは、ゾンビはノロノロと歩くものだ!とこの走るゾンビには反対する人が多いのですが、僕としては全然アリだと思いました。
ただ、元々ゾンビは呪いやらなんやらで、墓場から蘇った死体ですので、当然肉体は腐っており、それを考えたらノロノロと歩く方が自然というか、ノロノロとしか歩けなさそうなのですが、28日後のゾンビは、腐った死体ではなく、ウイルスによって”理性を失い極限にまで凶暴化した人間”であり、そう思えば走っても全然おかしくはないなぁ、と思ったのです。
それと、ただ終始追われているパニック感だけでなく、放心状態の一瞬を、その絶望的な風景を、すごく空虚に、且つ爽やかに撮っており、そこもただのホラー映画として片付けるのはもったいないくらいに良かったです。
あと、キリアン・マーフィ演じる主人公ジムが怪我とかじゃなく、大事な時に普通に頭痛くなったりするリアルな感じも面白かったです。
しかし、この映画、前半のハイスピードなパニックも良いのですが、何より後半がすごいのです。
“理性を失い極限にまで凶暴化した人間” とはゾンビなのか、我々残された人間なのか。
タランティーノばりの爽快なバイオレンスで煽りまくり、最後はこの上ない爽やかさで締めくくってくれます。
そして、今回見た『サンシャイン2057』 も主演は28日後…と同じキリアン・マーフィ。ちなみに、日本人俳優の真田広之も出演しております。
キリアン・マーフィはおそらくまだブレイクってほどブレイクはしていない俳優だと思うのですが、最近はインセプションやダークナイトシリーズでお馴染みのクリストファー・ノーラン監督に気に入られ、彼の映画で多数起用されたりしており、知っている人も少なくはないと思います。
サンシャイン2057は何だか不思議な映画でした。おそらく賛否両論分かれる映画だと思うのですが、僕的には賛成でした。
あらすじはこちら。
太陽が衰え人類が滅亡の危機に瀕している近未来(2057年)を舞台に、核爆弾で太陽の活動を蘇らせるために、宇宙船イカロス号で太陽へ向かった8人の乗組員を描いたSF映画。また、イカロス1号の遭難をめぐるホラー・サスペンス的な要素も含まれている。 (wikipediaより)
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終始ハラハラさせられ、息が苦しくなります。
この映画、僕はすごく良かったと思ったのですが、どんな感じ?と感想を聞かれるとすごく困る映画でもあるのです。
全然違うジャンルですし、それぞれ意味合いは異なってくるのですが、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』を見た後に近いような感覚を覚えました。
なんというかツッコミどころが多すぎて、逆に何も言えない、と言いますか、これで「完」って言われたら、もう何も言えない感じがあるのです。
とにかく不思議な映画で、僕は好きです。
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月曜日, 5月 6th, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
先日ブログで紹介したYeah Yeah Yeahsのボーカル、カレンOがテーマ曲で参加している映画『ドラゴン・タトゥーの女』 を見ました。
このドラゴン・タトゥーの女、まずタイトルがかっこいいです。
『ドラゴン・タトゥーの女』(原題: The Girl with the Dragon Tattoo)は、2011年のアメリカのミステリー映画。スティーグ・ラーソンの推理小説『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』を原作としており、2009年に公開されたスウェーデン版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』に次ぐハリウッド映画化である。(wikipediaより)
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監督はデヴィッド・フィンチャー 。デヴィッド・フィンチャーの映画は意識してなかったのですが、ほとんど見ており、いずれも好きな映画です。特にファイト・クラブが好きでした。
彼は映画の初めに、オープニングをつけるのが好きなようでいきなカレンO(yyys)とトレント・レズナー(NIN)によるレッド・ツッペリンの名曲『移民の歌』が流れる。
この時点でテンションが上がってしまい。シリアスな映画にのめり込むのが遅れてしまった。
とにかくエグいシーンが多く、見ているとすごく暗く、ちょっと嫌な気持ちになっていきます。
また主人公である、雑誌『ミレニアム』のジャーナリスト兼発行責任者兼共同経営者、ミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ) と、もう一人の主人公であるミルトン・セキュリティー所属のフリーの女調査員、リスベット・サランデル(ルーニー・マーラ) が強そうに見えるのですが結構弱い(そりゃただのジャーナリストと小柄な女の子だから当たり前なのですが)ので、終始ハラハラさせられました。
007の第六代目ジェームズ・ボンドでお馴染みのダニエル・クレイグはイメージ通りで、役にあっており、かなり良かったのですが、ルーニー・マーラ演じるリスベットがムチャクチャかっこよくて可愛かった。
僕はこの女優のことを知らなくて検索してみると普通に美人なのですが、このリスベットの、真っ黒で変な髪型と、眉無しジャンキーメイクが似合う似合う。やはり元が良いと、どんな奇抜で変な格好でも様になるのですね。
ノーヘルでバイクをかっ飛ばすシーンは最高にかっこよかったです。
でもメチャクチャ怖そうな外見ですけど、やはり女性なので弱いのです。また心も弱っており、すごく可憐なのです。
もともとパンクというかゴスというかエモというか、そんな格好の設定なのですが、前述した主題歌のせいで、どうもカレンOのイメージが終始漂っていました。
ストーリーも濃厚なのですが、かっこよく見せる、というところもあり、映像的にも見ていて良かったです。
そのストーリーですが、一応、推理ミステリーものなので伏せておきます。
僕もあらすじすら全く知らない状況で見たのですが、終始「えっ、どうなるの、コイツはなんなの、あ、なるほど・・・」とどんどんのめり込んでしまい、それで正解だと思いました。
そして、この『ドラゴン・タトゥーの女』の続編が現在準備中の様子です。今年2013年に公開予定との噂もあったみたいですが、もっと先になりそうです。
どうやらリスベット役のルーニー・マーラの続投はほぼ確定で、現在ミカエル役のダニエル・クレイグの続投はグレーの様子。監督のデヴィッド・フィンチャーが再びメガフォンを執るか否かは分からないとのこと。
それに対し、ルーニー・マーラは 「ぜひ彼に手掛けてほしいわ。でも、たとえどんなことがあっても、彼は何らかの形で作品に参加するはずよ」 と説明したらしいです。
ぜひともまたデヴィッド・フィンチャーに監督を務めてもらいたいです。
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月曜日, 4月 1st, 2013 | Permalink
エーブックスタッフの水野です。
漫画家の萩尾望都 の最新作となる『AWAY―アウェイ―』 が、4月27日に発売される月刊flowers6月号(小学館)から2号連続で掲載されるそうです。
萩尾望都(はぎわらもと)という漫画家は、僕が好きな唯一の少女漫画家です。
やはりどうしても淡いラブロマンスや、トーマの心臓のような同性愛モノのようないかにも少女漫画!というのはどうも苦手なのですが、彼女はそれだけではなく、SFやファンタジーやサスペンスの作品も多く描いているのです。
僕が特に好きなのは『ポーの一族』 という吸血鬼の話です。
“永遠に子どもである子ども” を描きたいという気持ちで描いたそうなのですが、まさに子どもの無邪気さで、人の命を食って生きてゆくというのがすごく衝撃的でした。
主人公である吸血鬼の少年エドガーが妹のメリーベルを必死で守ろうとし、そのためだったら手段を選ばないという姿が何とも切ないのです。
永遠の時を生きて行けるという条件であれば、逆に命の重みが増すというか、永遠の時を生きてゆけるが故に、パートナーが死んでしまったら永遠に一人で生きていかなければならないのです。
そのためにエドガーも必死で理解しあえる友人を探すのです。
やはり長い時を生きていれば、姿は少年でも考えることは大人でして、すること、考えることが残忍なのです。
子どもが、手馴れた動作で猟銃を構える姿は、不思議と絵になるものです。
出てくる登場人物も個性豊かで、エドガーは悪い行いばかりし、当然吸血鬼であるから、人間の血を吸い、命を奪うのですが、そんなエドガーを許すまいと誰もが思うのだが、誰もがその美しさだったり、危ない雰囲気に魅了されてしまうという、少女漫画ならではのオチも良い意味で期待通りで良いです。
読後感が、小説を一冊読んだような感覚で読み応えがかなりあります。
それと面白かったのが『11人いる!』という漫画です。
まず世界設定が少女漫画の枠を遥に超えているのです。
wikipediaから引用します。
ワープ航法と反重力推進の発明により、地球人類は宇宙へと進出を果たしている。200年の間に51の惑星を開拓したが、異星人の遺跡の発見、および異星人とのファーストコンタクトを経て団結する必要に迫られ、総合政府・テラを樹立する。
その後、サバ系、ロタ系、セグル系の3大国で構成される星間連盟に、地球および周辺惑星もテラ系として加盟。400年の時を経てロタ、セグル、サバに次ぐ国力を獲得した。異なる種族間同士の遺伝交配はロタ系を除き可能。
まずこの説明だけでは何のことか全く分からないのですが、気になる人は是非チェックしてみてください。
あらすじはタイトルの通り。wikipediaから引用します。
宇宙大学の受験生の1人、タダトス・レーン(主人公・タダ)は、最終科目の実技“各自のテスト場において集団で協調し、53日間を過ごす”を、10人構成のチームで外部との接触を断たれた宇宙船・白(はく)号において受験することを言い渡される。だが白号に集合した受験チームは1人多い11人だった。この不測の事態にあっても非常信号の発信ボタンを押せばチーム全員が不合格になるため、11人は互いに疑惑を抱きながら規定の53日間を過ごすことになった。
この設定だけでもう面白そうなのですが、実際に面白かったです。
映画のような漫画でした。
『11人いる!』もそうですが、萩尾望都の作品はどれもタイトルがすごくカッコいいのです。
少女漫画を描く人は、なかなか『漫画家』 という肩書きで呼ばれることは少ないと感じます。
おそらくほとんどが『少女漫画家』 と呼ばれているのではないでしょうか。
しかし、萩尾望都はおそらく『少女漫画家』より『漫画家』という肩書きの方が合っているでしょう。
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