エーブックスタッフの水野です。
毎週月曜日の午前に投稿しているのですが、一日遅れてしまい申し訳ございません。
『ベルセルク』というダークファンタジー漫画の三部作の第三作目、映画『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』が劇場公開されました。
ベルセルクは昔読んだことがありまして、その中世ファンタジーのダークな部分をこれでもかってくらいに詰め込んだ作品です。
1989年から、休載を挟みながらも実に24年間連載されている長編漫画です。
作者も「死ぬまでに頭の中を全て出せるのか」と不安を募らせるほどに壮大なストーリーなのです。
劇場版三部作は物語の中の黄金時代篇というわけで、屈強な肉体に黒い短髪の主人公ガッツが、銀色の長髪をなびかせた、女と見間違うほどの美貌を持つ天才剣士グリフィスと出会うという回想の章です。
ガッツの幼少時代から始まり、ガッツとグリフィス、そしてその仲間たちの青春と、その終わりが描かれていて、落差が凄まじいです。絶望そのものが待ち構えているのです。
二人が出会った頃は誰もこんなことになるなんて思わなかっただろう。
最初はお金の為に傭兵をしていたのだが、グリフィスはそうじゃなかった。
しかし、グリフィスに黒い野望は全く見えない。おそらく本人も抱いていなかったのです。ただ、高い場所で暮らしたい、あの高い城に住みたいという気持ちだけがあったのです。
その無邪気な心と、天才的頭脳と、ずば抜けた剣の腕前により、彼とその仲間たち、そしてガッツは次第に力をつけてゆくのだが・・・
といったストーリーです。
あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので、割愛させていただきます。
今回2/1に公開された第三作目は、青春の終わり、絶望の始まりが描かれているようです。
グロテスクな描写が売りの漫画だと、世界観やイメージが先行していてストーリーはその次、といった印象が強いのですが、ベルセルクはグロテスクなダークファンタジーなのに何よりもストーリーが先行しているというのがすごいです。
読んでいて、「うおおおお!」と唸るようなエモーショナルな展開もあれば、目を背けたくなるような悲しい話もあります。
“剣と魔法の中世ファンタジー”というその特性を活かし切って、これだけ暗い部分を引き出している漫画も少ないのではないでしょうか。
モンスターは本当に恐ろしいですし、逆に天晴れと言ってしまうような地獄そのものの光景はまさに悪夢です。
ストーリーが、ファンタジーと大河ロマンの絶妙なラインを通っているので、それがとてつもなくリアルに恐ろしく感じられるのです。