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David Bowie

月曜日, 1月 21st, 2013 | Permalink


僕は以前ブログでも触れたことがありますが、バンドをやっていてボーカルをやっているのですが、僕の中で俗によく言う神!(そんなチープな表現使いたくないですが・・・)というのがDavid Bowieです。
先日亡くなられた大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』や、Let’s Danceの大ヒットにより知っている人も多いと思います。
 
僕がデヴィッド・ボウイに出会ったのは、おそらく高校の頃。
小学5年の頃にクイーンにハマって、”ブリティッシュロックの歴史!”みたいな本を読んで、そこから名前を知り、写真は見たのですが、なんと言うかゲテモノ過ぎて、正直怖い印象でした。

額に稲妻があったり何か丸いのがあるし、眉毛も無い。髪型も昔のヤンキーみたいだし、服装も変・・・
まさに宇宙人のようでした。
それから時は過ぎ、高校に。その時僕はちょっと髪を伸ばしていて、体も華奢ですから、クラスの強そうな人たちから「女だ、女だ」言われていて、だったらそれでいいよ、性別なんて何でもいいよ、俺はロックだよ。なんていうワケの分からない意識が芽生え始めたのです。
昔から、ゲームとかのファンタジーな世界観が好きだし、クイーンからロックに目覚めたクチですから、何と言うかエレガンスな世界観には惹かれる性質だったのですが、
ふと目に入ったデヴィッドボウイのハンキードリーというアルバムのジャケに僕は頭をガーンとスコップで殴られたような衝撃を受けたのです。
絵画のようで、僕はゲイではないですが何て美しいんだ!と思いました。

David Bowie – Life on mars?
 
そしてまずデヴィッドボウイの代表作と言われているジギースターダストというアルバムを買って聞きました。
なんと言うのでしょうか、その時点で「ああ、これは僕の人生に一生残るだろうな」と思いました。
それからアルバムを集めだし、古本屋にある彼の載っている音楽雑誌を読み漁りました。
上の動画の曲は前述したハンキードリーというアルバムに入っているのですが、これは彼の中でも最も僕に衝撃を与えた曲です。なんとも切なく美しいのだが、破壊力があるのです。
そして、グラムロックというロックの中のジャンルは「コレだ!僕にはコレがある!」と僕に思わせました。
なんと言うかデヴィッドボウイは僕のコンプレックスを全て武器にしていたのです。
それが僕とデヴィッドボウイとの出会いです。
 
デヴィッドボウイの初期の曲でChangesというのがあるのですが、その中で彼は変化し続けるという運命を自ら歌っています。
最初はヨーロッパ的なポップシンガーだったのですが売れず、次はサイケなフォーク路線、次にハードロック、そして華やかで妖しいグラムロック、シアトリカルなアート路線、行き過ぎてアバンギャルド、新しいニューウェイブ、プラスティックなファンク、ダンスミュージック、無機質なインダストリアル・・・
そんなジャンルは後で分けられたものですが、彼は常に先駆者であり、変化してきました。
普遍的な中にも、何か変なものがある感じです。
「メジャーなカルト」とよく言われる彼ですが、正に言い得て妙だと思います。

 
 
そんなデヴィッドボウイがなんと今年2013年にニューアルバムを発売するのです。
僕は嬉しいです。
確かブライアン・イーノが前に「デヴィッドボウイは事実上引退した」言っていたので、僕は寂しかったのですが、
2013年1月8日、デヴィッドボウイの66歳の誕生日の日に、27枚目のアルバム『The Next Day』を発売されることが発表されたのです。
このソーシャルネットワークワールド、情報化社会の現代、人々は指先一つで得られる情報に依存し、支配されています。
それを逆手に取ったというか、一切の情報を公開せず、新曲を世界119ヶ国に一斉配信。
去 年、ロンドンオリンピックの開会式の時、David Bowieをモチーフにしたパレードがあったり、イギリスの選手団がHeroesの入場曲で入場したりと、既に伝説のような扱いを受けていて、引退説が囁かれていた世界的アーティストの10年ぶりの新曲が一切の情報無しに急遽発売…まさに策士って感じ。
ジャケも、ヒーローズのジャケの顔を白い四角でくりぬき、The Next Dayと書かれた物で前衛的。
右上に書かれた、「Heroes David Bowie」のHeroesのところを黒く塗りつぶしています。
 

誕生日の日に発表された新曲『Where Are We Now?』がまた素晴らしい。

 
そんなデヴィッドボウイのニューアルバム『The Next Day』は2013年3月12日に発売です。

2003年の『Reality』発表後は、病気療養のため音楽活動を休止していたイギリスのミュージシャン、デビッド・ボウイの27作目のオリジナル・ア ルバム。アートワークにも使用されている1977年の名作『Heroes』を手がけているトニー・ヴィスコンティがプロデュース。
01. The Next Day
02. Dirty Boys
03. The Stars (Are Out Tonight)
04. Love Is Lost
05. Where Are We Now?
06. Valentine’s Day
07. If You Can See Me
08. I’d Rather Be High
09. Boss of Me
10. Dancing Out In Space
11. How Does the Grass Grow?
12. (You Will) Set the World On Fire
13. You Feel So Lonely You Could Die
14. Heat

ドレスコーズ

月曜日, 12月 10th, 2012 | Permalink


エーブックスタッフの水野です。
先日、日本コロムビアから、ドレスコーズというバンドのファーストアルバムが発売されました。
ドレスコーズとは、依然『毛皮のマリーズ』というバンドをやっていた志磨遼平が新しく結成したバンドです。

僕は、毛皮のマリーズがまだキャパ200人くらいのそんな大きくないライブハウスでやっていた駆け出し頃からのファンでありまして、彼らの音楽は平たく言うと、所謂”古いオールドスクールのロックンロール”を愛しすぎてそのままやってしまったというものです。
僕は当時18歳、「俺は人とは違うんじゃ~」という意識で、そういう所謂ロック!って感じの音楽からは離れ、アバンギャルドな音楽に憧れていました。
しかし、元々好きな音楽は、ローリングストーンズから始まり、イギリスのデヴィッドボウイやティーレックス、アメリカのイギーポップやルーリードやニューヨークドールズ・・・などの危なっかしくも美しい、下品でいて崇高、暴力的だが可愛い、そして毒々しく清々しい、そんな音楽でした。

その当時、東京では9mmパラベラムバレットなどが所属する残響レコードなどに代表されるスタイリッシュでストイックなギターロック、
関西ではボアダムスから始まり、あふりらんぽ、オシリペンペンズ、ワッツーシゾンビなどの関西ゼロ世代といわれる日本人の土着的な感性のヘンテコ系バンドが人気を博していました。
その関西の音楽がなんともアバンギャルドでパフォーマンスも面白くて僕はハマっていて、ある日、名古屋にオシリペンペンズ、ワッツーシゾンビらが大阪から名古屋に来るというのを知り、ライブを見に行ったのです。
ワッツーシとペンペンズを見終わり満足した僕、次のバンドは東京から来た毛皮のマリーズってバンドか、寺山修司が好きなのかな?暗くて怪しいおどろおどろしいバンドなのかな?と考えていたその時、会場にエディットピアフの『愛の讃歌』がSEで流れ出した。
クールなギターがギターのノイズをフィードバックさせる、可愛い女のベースと太ったドラムが激しいリズムを刻みだす。そして、おそらく身長180cm以上あるであろう長身で、心配になるほど痩せた、長髪の、鷲鼻の男が、突然ステージに飛び出したのです。

彼は、腰に手をやりポーズを決めて、真っ赤な口紅が塗られた大きな口を開けて歌いだしたのです。
僕はショックでした。人とは違っていたいという理由(勿論それらが好きなのであるが)でアバンギャルドな音楽に憧れていた僕はショックを受けたのでした。
「君の本当に好きなのはコレなんだろう?」
そんな声が聞こえてきそうでした。
ニューヨークドールズの頃のジョニーサンダースのようなルックスに、声質はジョンライドン、しかし歌は上手い。マークボランのようなビブラート。
イギーポップのようにステージを転げまわったと思えば、ミックジャガーのように腰をクネクネさせて踊りだす。そしてデヴィッドボウイのように両手を広げて歌い上げる。
妖しいミックジャガー?危なっかしいイギーポップ?無邪気なマークボラン?下品なデヴィッドヨハンセン?はたまた崇高なデヴィッドボウイ?
志磨遼平、彼には全ての要素があった。
「こ、こいつはロックの化身だ!」
僕はとにかくショックを受けたのです。

それ以来、彼らが東京から名古屋へライブしに来る度、見に行きました。サインもらって、自分のやっているバンドのデモ音源を渡したのは良い思い出です。
ライブへ行く度、お客さんの数が増えていき、最初は四バンド、五バンドのブッキングだったが、次第にツーマン、そしてワンマンに。
2010年、彼らはついにメジャーデビューし、メディアにもよく出るようになりました。
この頃からチケットが取りづらくなり、あまりライブに行かなくなっていったのです。
しかし、相変わらずアルバムは追って買っており、メジャーデビューしてから三枚目、インディーズも含めれば六枚目のアルバムが2011年の12月に発売されました。
そのアルバムは発売されるまでトラックリストなどの情報はおろか、アルバムタイトルすら一切公開されておらず、発売日当日、情報が解禁され、そのアルバムの名は『THE END』。
そう、彼らのラストアルバムであったのです。
そして同時に発表された、日本武道館公演。それを最後に毛皮のマリーズは解散したのでした。

僕が始めてリアルタイムで追った正真正銘のロックバンド、その早すぎる解散にまたまたショックを受けた僕でした。
毛皮のマリーズ、それはまるで僕の青春、魔法のようなバンドです。
21世紀、このご時勢、日本の音楽界に、とびっきり危険で切ないキラキラしたロックンロールを奏でてくれたのは今でも信じられません。
志磨遼平本人も雑誌のインタビューで
毛皮のマリーズは僕にとって“祈り”であり、特別な才能が無くても、音楽が好きで続けていれば誰でもメジャーデビューできて、日本武道館でライブが出来る、という”祈り”を証明したバンド
というようなこと言っており、なかなか、いや、かなり感慨深かったです。

そして、間髪入れずに結成されたバンド、ドレスコーズ
まずバンド名からして、違った印象が感じられました。
『毛皮のマリーズ』というバンド名からも分かるように、毛皮のマリーズにはある種のテーマ性があった思います。古い、既存の、みんなが憧れた、かっこいいロックンローラー像を体現するバンドであったが、ドレスコーズという名前は、もっと大きなイメージが感じられます。
テンプレート化された既存のロックンロールが普段着なら、ドレスとは一体どんな音楽になるのでしょうか?
そう思うと、さらなる上のステージに上がるようなイメージもあります。

少々前置きが長くなってしまいましたが、そんなドレスコーズのファーストアルバムが、12/5に発売されました。

1st Album『the dresscodes』

初回限定盤【CD+DVD】
COZP-735~6 ¥3,360(tax in)

通常盤【CDのみ】
COCP-37693 ¥2,940(tax in)

M-01 Lolita
M-02 Trash
M-03 ベルエポックマン
M-04 ストレンジピクチャー
M-05 SUPER ENFANT TERRIBLE
M-06 Puritan Dub
M-07 Automatic Punk
M-08 リリー・アン
M-09 レモンツリー
M-10 誰も知らない
M-11 (This Is Not A)Sad Song
M-12 1954

近所のTSUTAYAで初回版を購入してきました。
帰り道、カーステレオで聞きながら帰ったのですが、一曲、二曲、三曲・・・うわー、かっこいいな。四曲、五曲・・・とっくに家には着いているのですが、その場を離れることが出来なかったのです。

アルバムが進むに連れ膨らむ、明らかな違和感。
予想を上回る、いや予想に”反する”と言った方が正しいでしょうか、そんな衝撃があるのです。
毛皮のマリーズがセックスピストルズなら、ドレスコーズはPIL?違うか。そんなベタな例えは不要とすら聞こえてきそうです。
毛皮のマリーズがロンドンの裏通りで行われるパーティなら、ドレスコーズはイタリア南部の郊外で起きた事件・・・よく分からない例えですけどそんな印象です。
夜明け前の荒野にて、言葉もなく馬を引いて歩いている男たちって感じ。

歌が明らかに上手くなっている。歌詞が洗練されている。
ギターがギャンギャンでなんか変だ。変わった音階を使っているようにも聞こえる。
ベースがブリンブリンで踊れる。
ドラムはキースムーン?いやフリージャズ?ドタバタしているがタイトで気持ちいい。
とにかく演奏がすごい。ちゃんと勝負している感じがします。

これがメジャーのしかも大手の日本コロムビアから出ているのか・・・こんなアバンギャルドでいてポップな、ノスタルジックだが真新しい、親しみやすいが狂気的、震えるような音楽です。
アルバムを聞き始めた印象と、聞き終わった時の印象が大きく違うというのはよくありますが、曲単位でそれが体験できるのはなかなかない気がします。
『ロック』という、くくるには大きすぎるジャンルでもくくりきれないような音楽だと思います。
古いロックが好きな人にも勿論いけますが、東京事変とか椎名林檎が好きな人にもいける気がします。

毛皮のマリーズは「僕はこんな音楽たちが大好きなんです」という自己紹介だったのなら、
ドレスコーズは「では僕はこういう音楽をやります」という明らかな攻めの姿勢が感じられました。

なんだか長々と熱く語ってしまいましたが、おそらく日本のロック史に一石を投じるようなバンドであると思います。

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