鳥山明の魅力


エーブックスタッフの水野です。

先日『ドラゴンボールZ 神と神』がテレビでやっており視聴し、
何とも懐かしい気分になりました。
ドラゴンボールといえば、僕が小学校1,2年の頃に既に、
テレビアニメの方で最終章である魔人ブウ編に入っていたので、
おそらくドンピシャ世代というわけでは決してないのですが、非常に記憶に残っています。

僕は現在、文房具屋でもバイトをしているのですが、
未だに「ドラゴンボールの文房具はありますか?」と聞かれることが多々あります。
1995年に連載終了を迎えてから約20年経った今でも、
子どもたちからは熱狂的な人気を持っているのだと驚かされました。
 
僕が幼稚園から小学校に上がる頃は、
男の子はドラゴンボール、女の子はセーラームーン、でした。
少数派で幽々白書とかも人気でしたが、やはりドラゴンボール人気は圧倒的でした。
 
今回の劇場版を見ても思ったのですが、
ドラゴンボールとは、キャラクターの魅力が圧倒的な漫画なのでしょう。
子どもの頃すごく好きだったとはいえ、ストーリーはあまり覚えていませんでした。
ただキャラクターはずっと覚えていました。
 
僕の頃でいうドラゴンボールの位置には、
現代の子にとってはワンピースがあることでしょう。
この二つの漫画、主人公も似たようなタイプですし、比べられがちなのですが、
僕は対照的だと思います。
漫画の見せ方が違うと思うのです。
漫画の展開の仕方としてはワンピースの方が圧倒的に巧みです。
これが伏線になっていたのか!ここでこいつが出てくるのか!あの時のあれが今これなのか!
といったような、巧みなシナリオで、子どもだけでなく、大人も唸らせる漫画であり、
ワンピースとは、読者に鳥肌を立たせる漫画だと思います。
長期連載を見据えた構成(勿論、後付のものもあるでしょうが)で、
そこからは作者の自信を垣間見ることも出来ます。
まさに週間少年ジャンプの三大原則「友情・努力・勝利」を感じさせる王道少年漫画だと思います。
 
一方ドラゴンボールは、今挙げた”巧みなシナリオ展開”というのは無いです。
行き当たりばったりの展開であり、物語を通してのテーマも特に感じられません。
(確か作者の鳥山明は一巻のコメント欄で「行き当たりばったりで描いていこうと思います」と明言してましたし)
中期以降は冒険漫画からバトル漫画に変わりましたが、キャラクターの力関係は早々と破綻します。
 
しかし、ドラゴンボールは何故ここまで人々の心を掴んで放さないのか・・・?
 
以前の記事でも書きましたが僕は漫画家を目指していた時期があるせいか、
純粋な読者の目で漫画を読むことが出来ず、どこかで作者側というか、勉強する目で見ているところがありました。
そういった目で見ているとドラゴンボールは絵の見せ方が圧倒的にすごいのです。
これぞ漫画!といわざるをえないような絵なのです。
キャラクターの動きが見えるのです。スピード感だったり爽快感が、見事な描写は勿論、コマ割りの見事な構図で表現されています。
またキャラクターのデザインも群を抜いていると思います。
人間は勿論、人間以外のキャラクターも素晴らしいです。

というのも、鳥山明はもともと漫画ではなく、デザインを志向していた人でした。
広告会社でデザイナーとして働いていたが、好きでもない絵を描くのに嫌気が指し、
またそもそもそうやって会社で働くのが嫌いな為、
どうにかもっと好きな絵を描いてお金が欲しい、ということから漫画家になったそうです。
 
彼の初の長編であるドクタースランプの頃は特に、デザイナーとしての絵だったと思います。
ドラゴンボール連載時にキャラクターデザインは(時代の為か)筋肉隆々のいかにもバトル漫画と言った感じへと段々変わっていきますが、それでも他とは違うデフォルメされたデザインとしてのキャラクターだったと思います。
ドラゴンボール連載終了後はまた彼らしい絵柄に戻り、更に磨きが掛かり、
鳥山明の絵柄が完成されたような気がします。
ちなみに僕はドラゴンボールの頃より、その後の絵柄の方が好きです。
 
sandland
 
2000年前後に描かれた『COWA!』『カジカ』『SAND LAND』は大好きな漫画です。
特にSAND LANDが一番好きで、ストーリーも面白くて色んな漫画を読んだ今でもお気に入りの漫画です。
“ジジイと戦車”の漫画を描きたいというところから始まっていて、
主人公のベルゼブブは悪魔の子ども、そしてその仲間二人はジジイです。
昔から機械の絵は得意だった彼でしたが、ここでもその技量が存分に発揮されています。
趣味に走っているといえば、思いっきりそうなのでしょうが、
それでこそ彼の魅力が最大限に引き出されている気がしてすごく良かったです。
 
彼が絵を描き始めてから随分と時間が流れましたが、
一目で彼の絵だと分かるその絵は今ではオリジナルとして確立されました。
この先、彼がどんなものを描いてくれるのかまた楽しみです。

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