エーブックスタッフの水野です。
今年、2014年はセーラームーン20周年の年です。
『美少女戦士セーラームーン』は武内直子によるアクション系少女漫画です。
セーラームーンは少女漫画の一つの金字塔であると同時に、日本のアニメのあり方を決定付けた一つのパイオニアだとも思います。
ごく普通の学生が特殊な力で変身して悪と戦う・・・というのは、特に珍しくないありきたりな設定だと思います。
しかし、そこに美少女という設定を持ち込んだのは珍しいと思います。
そういった意味で、美少女戦士モノ、魔法少女モノの先駆け的な作品でもあります。
僕は世代的には丁度ドンピシャで、二歳年下の妹がいましたから、セーラームーンのアニメは見たことがありました。
僕が幼稚園から小学校に上がる頃は、男子はドラゴンボール、女子はセーラームーン、でした。
男子は他にも幽遊白書やジャングルの王者ターちゃんや忍空などが、少数派ですが人気でした。
その点、女子にはセーラームーンしか無かったのかと思うとその人気は絶大です。
男子がセーラームーンを見るというのは、男ではあるまじき行為でした。
それほどの恥はない、というくらいに恥ずかしかった記憶があります。
しかし、僕はセーラームーンを見ることが出来ました。
その頃の男子は子どもですからセーラームーンを見もせずに女の漫画だと批判していたことでしょうけど、いざ見てみると、当時ドラゴンボールや幽遊白書が好きだった少年たちが批判するような内容では決してありません。
むしろ大好きだと思います。
セーラームーンは少女漫画ですけど、少年漫画的な要素が多いと思われます。
まずストーリーの軸が恋愛ではなく、バトルという時点で少年漫画的です。
また、セーラームーンには、それぞれのキャラクターを暗示するシンボルがあります。
例えばセーラームーンは月、セーラーマーズは火星・・・など、それぞれの力のイメージになっているのです。
キャラクターや世界観の相関図からキャラクターを作るのではなく、そういったパワーや能力的にキャラクターを色付けしているのも非常に少年漫画的だと思います。
敵を倒したら、また強い敵がどんどん出てくる、そういう展開もいかにも少年漫画。
こういうの男の子は好きです。強い主人公たちがいて、強い敵がいる。
それだけで男の子は好きなのです。
また、僕はセーラームーンを見たとき、少し怖いイメージがありました。
雰囲気が暗いのです。
ドラゴンボールのあの明るい世界観ではないのです。
何だかそこには見たこともないような新鮮な世界観があったのです。
今、見てみてもそれは思います。
色がカラフルで視覚的に面白いのです。
この世界観は後にヴィジュアル系に引き継がれたと思います。
ロマンチックで退廃的で、不気味でトランプのような奇妙な世界観。
GACKTがいたマリスミゼルはまるでセーラームーンの悪役です。
そしてこのセーラームーンのアニメを大ヒットさせた必殺技とも言うべきものがあります。
それは『ムーンライト伝説』と名付けられた主題歌です。
僕はこの曲はベスト・オブ・アニメソングだと思います。
まずタイトルからしてカッコいい。『ムーンライト伝説』。
LEGEND OF MOONLIGHT.いや、LORD OF MOONLIGHT でも良いな。
この世に二つとないオリジナルの言葉が僕は好きです。
ムーンライト伝説というのも既存の言葉ではなく、この曲のために作られた言葉です。
そこがまずカッコいい。
タイトルもカッコいいのですから曲も最高にカッコいいです。
まず暗い。ゴーン・・・ゴーン・・・という鐘の音から入り、マイナー調のイントロが入り、次に歌が入るのですが、もうド頭から謝ります。
1番のAメロどのフレーズをとっても語呂が非常に良く、歌いたくなるフレーズです。
特にAメロ二回目の「泣きたくなるようなmoonlight」からBメロまでは、全て韻を踏んでいて最高に心地よいです。
「だって純情、どうしよう、ハートは万華鏡」、すべて「~ow」の韻です。
また演奏もいかにもバブル時代名残りのディスコ風16ビートサウンド。
セーラームーンのオモチャと同じように軽いプラスティックなサウンドが最高です。
重厚なストリングスが重ねられていますが、全くと言っていいほど深みがないのです。
これは悪い意味ではありません。このプラスティック感が最高なのです。
また歌がお世辞にも上手いとは言えないのですが、それ少女感(なんじゃそりゃ)だったり、不安定な情緒だったり、不気味さだったり奇妙さを演出していて最高です。
またBメロは泣きのメロディで最高に切ないです。
ベースラインがグルーヴィーで完全にノリが変わります。
また間奏を挟んだ後の二番は、リズムを弾くシンセが強調されていてそのクサさは最高潮です。
そして、今この記事を書きながら聞いていて気付きました。
僕が何故この曲が好きなのか。
この曲にはドラムのフィルが多すぎるのです。特にAメロなんて二小節ごとに「ドコドン!」とフィルが入ります。せめて四小節ごとでいいだろ!と思います。
むしろ、Aメロはほぼなしで、Bメロの「何度も/巡り合う」の間のブレイク部分だけにすればもっとドラマティックなブレイクになる気がします。
しかし、そういうことではないのです。
この曲にはそのクサくて過剰なフィルが色付けているのです。
少々、曲について長々と書きましたが、セーラームーンにはヒットするいろいろな要因があったのです。
それにしても、準主役的な立ち位置を占めることとなる『ちびうさ』に固有の名前を付けなかったのはどうしてだろう?