ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーのカップルが再び映画で共演する予定なのが判明しました。
二人が共演するのは、二人が交際をスタートさせるきっかけとなった映画『Mr.&Mrs.Smith』以来、実に九年ぶりのことで映画関係者やファンの間では注目されています。
先日ですが、そんなブラッド・ピットの映画『WORLD WAR Z』を見ました。
『WORLD WAR Z』は去年2013年に公開されたアメリカのパニック系のゾンビ映画です。
監督は2011年にゴールデングローブ賞にノミネートされた『Machine Gun Preacher』や『007 慰めの報酬』などのマーク・フォスター。
主演にブラッド・ピット。共演にミレイユ・イーノス、ファナ・モコエナ、デヴィッド・モース、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、など渋めのキャストで固めてあります。
原作であるマックス・ブルックスの小説『WORLD WAR Z』では複数の人物の視点から描いたドキュメンタリータッチの群像劇でしたが、この映画ではオリジナルの主人公ジェリーからの視点で描かれております。
また、走るゾンビというのもこの映画のオリジナル設定の様子。
新しいゾンビ系映画が公開する度によく話題に上がるのがこの「走るゾンビ」です。
もともとゾンビはノロノロとしか動けず、一人いたところで逃げることは簡単だし、頑張れば撃退も可能です。
しかし、ゾンビの怖さとは、固体の強さではなく、群集の怖さなのです。
人間はゾンビに噛まれるとゾンビ化してしまい、ねずみ算的にゾンビはどんどん数を増やしてゆく。
ノロノロと・・・ジワジワと・・・追い詰められてゆく・・・ゾンビ映画の魅力とはおそらくそういうものなのでしょう。
そういったゾンビ映画も次第にマンネリ化し始め、もっと恐ろしいものとして「走るゾンビ」が生まれ、その凶悪さに恐怖を感ぜずにはいられませんが、ゾンビファンからすると、それはゾンビ映画の魅力を損なわせている、という意見が多いです。
ゾンビとはもともと、黒魔術やら呪いやらで蘇った死体なので、体や脳が腐っているためノロノロとしか動けません。
しかし、近年はそういった伝承的であったりファンタジー的な理由によるゾンビではなく、映画によりリアリティを持たせる為に、ウイルスや疫病、または生物兵器の開発などからゾンビになるという現実的というかSF的な理由によるゾンビが登場しました。
感染力の高いウイルスや病気という設定が生まれたことにより、「ゾンビに噛まれた人間がゾンビになってしまう」ということに説得力を付けることも出来ました。
またそういった感染系ゾンビだと、蘇った死体というわけではないので、ゾンビの体は必ずしも腐っていなくてはいけないというわけではありません。
なので、ノロノロ動くばかりではなく、走ったりジャンプしたりするゾンビを描くことも可能になったのです。
この『WORLD WAR Z』のゾンビはそういった感染系ゾンビで、全力疾走します。
走るゾンビ映画ですと『28日後』や『I AM LEGEND』などが有名ですが、この『WORLD WAR Z』は今までの映画と比べても、その勢いが半端ないです。
まるでラグビー選手のように思いっきり体当たりしてくるのです。
それが怖くて仕方がありません。
また、このゾンビには、音に過敏に反応するという特性があります。
そのことにより、静かにしなくてはいけない、という別のスリルが生まれ、息を殺して進んでゆく緊張感があり、恐怖を演出することに一躍買っています。
ゾンビに対して銃を使うのは最終手段です。
銃は大きな音がなりますから一発でも撃てば、近くにいるゾンビをみんな呼び寄せてしまうのです。
それも今までにない緊張感で面白かったです。
ブラッド・ピットの演技は控えめで、特にブラッド・ピットらしい演技は無かったと思われます。
人間の顔にはいろいろな顔があり、こわもてで最初から怒っているような顔もあれば、柔らかい雰囲気でいつも笑顔に見える顔もあります。また「常にちょっと泣きそうな顔」というのもあります。
ニュアンスが伝わるかは分かりませんが、日本ですと萩原聖人とかがそうでしょうか。
外国ですと、ジョシュ・ハートネットとかがすごくそんな顔です。
ブラッド・ピットもそんな「ちょっと泣きそうな顔」をしています。
その泣きそうな顔のブラッド・ピットが、更に泣きそうになりながらゾンビから逃げる、というのがやはり良かったです。
俳優の雰囲気だったりもそうですが、そういった俳優の演技以外の無意識の部分が、シーンを盛り上げることもあるのだなぁ、と思いました。
開始10分でもうパニック。
そこからエンディングまでがほぼずっとパニックです。
シリアスな作風ですが、ところどころ無茶な展開があり、映画として賛否両論あるこの『WORLD WAR Z』ですが、僕はなかなか楽しめました。
とりあえず、ゾンビが現れたら、腕と脚に、雑誌を巻いて、ガムテープでグルグル巻きにしましょう。
これはかなり単純な策だけど、かなり効果的だと思いました。