悲しみを背負った正義の怪人、仮面ライダー


石ノ森章太郎原作の仮面ライダーの新作劇場版に、
初代である仮面ライダー一号の本郷猛役を務めていた藤岡弘、が出演するそうです。

平成ライダーに「お前のようなひよっこを、ライダーと認めるわけにはいかん!」と叱責し、昭和ライダーたちを引き連れた彼は平成ライダーたちの前に立ちはだかります。
 

 
僕も幼い頃は、ご多聞に漏れず、仮面ライダーを見て育ちました。
ウルトラマンより仮面ライダーの方が好きで、
中でも仮面ライダーBLACKが一番好きだったと記憶しています。

平成ライダーシリーズを製作してきた白倉伸一郎は、
仮面ライダーの人気の秘密を”リアリティ”だと語ります。
何でも仮面ライダーは元々低予算で作られた特撮だったそうで、
撮影セットを用意する予算を節約する為に、実際の街で撮影されたそうです。
そのことにより、実際に僕が住んでいるこの街にも実はショッカーがいるんじゃないか、
仮面ライダーはバイクでどこかを走っているんじゃないかと思えたり、身近な存在に感じられたことがヒットした理由だと語っています。
 
ライダーが対峙する敵も、ウルトラマンのような壮大な宇宙の怪獣たちではなく、
地下世界に作られた政府転覆を目論む秘密結社なのです。
その辺りも、実際にありそうで(あったりするのかも知れません)、恐ろしく感じられます。

仮面ライダーの原作は石ノ森章太郎です。
僕はやはり石ノ森章太郎は悲しみを描く漫画家だと思います。
サイボーグ009でもそうですが、仮面ライダーもそうです。
仮面ライダーは悪の組織ショッカーに怪人に改造させられた男です。
しかし、脳を改造される前に脱走した為、人間の心を持った怪人となったのです。
そして、彼は「人間の自由のため」にショッカーと戦うことを決意するのです。

 
石ノ森章太郎が再び原作を担当した1989年の仮面ライダーBLACKでは、
その悲しみが更に強調されています。

主人公の南光太郎とその親友の秋月信彦は暗黒結社ゴルゴムに拉致され、
二人とも怪人バッタ男に改造されてしまう。
しかし、南光太郎は脳改造を受ける前に、秋月総一郎の手引きにより脱出するが、
親友の秋月信彦はそのまま取り残されてしまい、脳改造されてしまう。
そして、南光太郎は親友である秋月信彦と戦わなくてはいけなくなってしまったのだ。

この仮面ライダーBLACKは仮面ライダーの原点に立ち返るというテーマであり、
当初は仮面ライダー0号と仮名が付けられていたそうです。
その原点とは初代のテレビシリーズである仮面ライダー一号ではなく、
石ノ森章太郎原作の仮面ライダーのことです。
仮面ライダーのデザインもスカーフや手袋を付けた人工的なものでなく、
生物的なデザインになっていています。
そして変身する際には、一度グロテスクなバッタ男を経て、仮面ライダーになります。
彼はヒーローなのではなく「怪人である」ことを強調させているのです。
僕は仮面ライダーBLACKのこのシンプルなデザインが非常に好きです。
なんというか洗練されていてクールで、余計なものを取っ払ったスマートなフォルムがすごくかっこいいのです。

仮面ライダーのモチーフといえば主に昆虫が多かったのですが、
今やっている仮面ライダー鎧武は、フルーツがモチーフにされています。
フルーツは今までに無いモチーフだったので採用したそうで、
何故フルーツなのかは謎ですが、最初見たときは仮面ライダーとは分からず何か他の特撮戦隊ヒーローなのかと思ってしまいました。
僕は内心「流石にこれはコケるんじゃないか・・・?」と思っていたのですが、
蓋を開けてみると大人気。
僕の感覚が既に若くないのかと疑ってしまいました。
前回、文房具屋で働いていると未だにドラゴンボールの商品を求められるという話をしましたが、この仮面ライダー鎧武も大人気です。
 
平成ライダー以降は、原点回帰は行われていないです。
(仮面ライダーWは設定、デザイン的に昭和ライダーを意識したものだったそうですが)
現代のクオリティで監督を、三池崇史とかにやらせて、
原点回帰したシリアス路線の仮面ライダーが出来たらすごく見てみたいです。
 

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