恐ろしいまでの神秘体験『エル・トポ』


エーブックスタッフの水野です。

カンヌ映画祭を爆笑と感動の渦に巻き込んだドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』が6/14から全国で公開されます。

この映画は1975年に映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーによって企画されたSF映画なのですが、映画化不可能なその内容に結局頓挫してしまい未完に終わりました。
その企画は、莫大な予算を必要とし、12時間にも及ぶ上映時間を予定しており”映画史上最も有名な実現しなかった映画”と言われ、伝説となっています。

この企画には、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ、メビウス、H.R.ギーガー、ピンクフロイド…などなどそうそうたる面々が参加予定でした。

また、スターウォーズ、エイリアン、ブレードランナー、マトリックスなど、今あるSF映画の金字塔たちは既にこのDUNEで使われたネタだと云われるほど影響力を持っていたそうです。

ちょっとややこしいですが、この『ホドロフスキーのDUNE』の監督はフランク・パヴィッチという監督なのですが、彼は「ホドロフスキーは映画を完成させたかったのか、世界を変えたかったのか。もし世界を変えたかったのなら、それは達成されたのだ」と語っています。

そんな影響力を持ったアレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画を見ました。
彼の映画の中でも有名な『エル・トポ』という映画です。
この映画は1971年に公開されたのですが、あまりにもショッキングな内容に深夜に限定された上映になり、宣伝もあまりされませんでした。
しかし、公開初日には芸術家アンディー・ウォーホールとその一派、俳優のデニス・ホッパー、ピーター・フォンダ、ミュージシャンのミック・ジャガー、ジョン・レノン、オノ・ヨーコらが観客として見に来ており、なかでもジョン・レノンは4回も見に来るほど気に入り、それがきっかけで大々的に公開されたのですが、あくまでカルト映画はカルト映画、大不評で上映三日で打ち切られました。

僕はこの映画を友人からゲキ押しされ、なんとなく話を聞いていたのですが、レンタルビデオ屋にはなかなか置いておらず、結局見ていませんでした。
しかし、先日近所のレンタルビデオ屋に行ったら復刻名作コーナーみたいなところにこの『エル・トポ』が並んでいたのです。
1971年に公開されたのが何故準新作なのかは分かりませんが早速借りて見ました。

何というか、もう言葉にならない映画でした。
西部劇風の舞台なのですが、神秘的とも芸術的とも哲学的とも宗教的ともいえる内容で、なるほどあの有名人たちが初日からこぞって見に来る理由が分かる気がしました。
美術的にも素晴らしく、画としてものすごく美しいです。
前半の神秘的な雰囲気がずっと続くと思っていたので、後半の展開は意外でした。
所謂”俗世間”の醜さをここまで描けるのかと衝撃を受けました。

それにしても、エル・トポのファッションはかっこよすぎる。

日本の詩人であり作家であり芸術的であり映画監督である寺山修司がこの映画の大ファンだったそうで、確かに寺山修司の映画の前衛的な作風と共通するような雰囲気がありました。

見終わった後、何だかえらいもん見ちゃったな〜と唸ってしまうような映画でした。

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