奇跡のハスキーボイス『GLIM SPANKY』


エーブックスタッフの水野です。

先日ラジオからたまたま流れてきた曲にちょっと感動してしまいました。
彼らはゲストとして出演しており、聞いているとどうやらこういったメディアには初出演。
まだまだ若いようで年齢は22そこら。
僕もバンドをやる身として、こんな若造(自分とそんなに変わらないが)に感動させられるなんて少し悔しい気もしたが、これには参ってしまった。

後から調べるとそのバンドは『GLIM SPANKY』という名前。
2010年代の日本のロックシーンは、今までは40代、50代のモノであったロックンロールという音楽が、再び10代、20代といった若い世代のモノに戻りつつあるんだと思います。
おそらくそのビッグバンを起こしたのが(もう解散しましたが)『毛皮のマリーズ』というバンドの誕生、あるいは『ゆらゆら帝国』というバンドの解散だと思います。
80年代以降、既存のものをいかに破壊していくかがキーになっていたロックという音楽ですが、日本でも90年代ごろからその風潮は高まっていきました。
毛皮のマリーズのやった音楽はただ単に70年代の海外ロックでしかないのです。それは勿論良い意味で。
ゆらゆら帝国は海外のロックに日本語の独特な口語体の歌詞を乗せたのが特徴で、よりオリジナリティのあるものでした。
日本では元々ロックという音楽自体が過去に輝いていたという時代はないので、聴衆にとっては、彼らのやったことは余計に新しく刺激的に感じられたのかもしれません。
また、同じく昔のロックを愛聴していた少年たちは、彼らに続けと言わんばかりにデビューしていき、一つのシーンのようなもの出来ていきました。

そのブームもマリーズの解散後は弱冠勢いを失いかけていますが、そんな中で現在、スポットを浴びだしたのが『GLIM SPANKY』。

昔の所謂”王道ロック”をテーマに活動するバンドの多くが「60~70年代ロックの現代的解釈」であったのに対し、彼らは「いかに昔のロックに近づけるか」という姿勢を感じます。
王道のロックンロールの中で、取り上げられるイメージはやはり、ビートルズのようなポップスだったり、ラモーンズのようなスリーコードの少しパンク寄りな曲が多いです。
いくら王道ロックをうたっていても、結局ロックの中でもポップな側面をやっているバンドは多いと思います。

そんな中で、彼らはそのロックの中でも、何と言うか汚い例えですが、便所の落書きだったり、ドブに吐き出されたツバのような音楽をやっています。
泥臭く、黒い雰囲気を持っており、ロックの中でもブルースを感じるのです。

僕は昔のロックが好きで、特にローリングストーンズというバンドが好きです。
ストーンズは、汚らしくて、いかがわしくて、悪魔的で、不健全なイメージを持っており、そういうアウトロー的なイメージがあります。
ロックに希望を見出そうなんて考えはやめた方がよくて、ロックとは悪魔の音楽だと教えてくれる感じが最高にカッコいいのです。

GLIM SPANKYを聴いたとき、彼らはロックだとか音楽に希望を持ってなんかなくて、これはただの反抗なんだと感じました。
僕の勝手なイメージですが、そういったやさぐれたモノを感じたのです。

まず、曲からして間違っている。ブルースじゃないか。そんな音楽で人気が出るはずがない。
しかし僕はこういうのが聴きたかったんです。ロックにアイドル的な要素を求めるのはもう間違っている、こういう泥臭くて暗くて渋くて尖ったものを聴きたかったんです。
ラジオでのインタビューで、「何故60年代だとか70年代のロックをやろうと思ったのか?」という質問に「ただやりたいと思った音楽が、60年代だとか70年代のロックだっただけで、それを意識してやっているわけではない」と言っていて、ただ好きだからやっているのだという姿勢がかっこよく思えました。

音楽的なことですと、まず、印象に残るものはボーカル松尾レミの日本人離れした声。
少しジャニス・ジョプリンを彷彿とさせるようなハスキーボイス。
ブルースを歌う為に生まれたような声です。しかも上手い。
僕が女でこの声だったら、僕だってブルースをやるでしょう。

この手の音楽は、年を重ねれば重ねるほど良さが出てくると思います。
続けるに連れ、丸くなってしまうのは仕方ないことかもしれないですが、この姿勢は貫いて欲しいですね。
一体どんな目線で書いているのか分からないですが、とにかく応援してます、GLIM SPANKY。

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