エーブックスタッフの水野です。
先日、以前ブログで紹介したクエンティン・タランティーノ監督のジャンゴ 繋がれざる者を見てきました。
率直な感想ですが、最高に面白かったです。
過激でバイオレンスなイメージが強いタランティーノですが、僕の思うタランティーノの良さには、ロマンがある、ということです。
男のロマン、というのでしょうか、男とはこうあるべき、カッコよさとはこういうこと、というようなロマンがあるのです。
それは時に、ギャングだったり、ボクサーだったり、軍人だったり、そして、荒野のガンマンだったりするのです。
言葉以上の説得力を持つその立ち姿、目は口ほどにものを言うその眼差し、です。
今回は西部劇ということもあり、そのロマンが特に際立っていたのです。
ジェイミー・フォックスが立ち上がったその姿が、何とも強く美しく渋くてかっこいいのです。
まあ、今から見るという人もいるかもしれないので、あまり内容については触れないでおこうと思います。
珍しく(おそらく初?)悪役を演じたレオナルド・ディカプリオがかなり良かった。彼は甘いルックスで日本ではアイドル的なイメージが強いのですが、最近は、マーティン・スコセッシとよくタッグを組んでいたり、色んな役柄に挑戦していたり、僕は、彼はいわゆる演技派俳優だと思っています。
また今回でそれを思い知らされました。ディカプリオがあんな顔するとは。
本当にディカプリオじゃないようでした。見事でした。
それとサミュエル・L・ジャクソンが良かった。彼はクールな役柄が多い気がしますが、今回は意外な感じで面白かったです。
クリストフ・ヴァルツはイングロリアス・バスターズであんな嫌な役を演じていたのに、今回は、本当にいい人でした。主人公ジャンゴの良き相棒で、尊敬すべき師匠でした。
この映画、黒人奴隷をテーマとした西部劇(正しくは南部劇か)という異例の映画なのですが、やはり批判も大きいようです。
Spill.comの批評家は本作で「ニガー」という単語を多く使っていることを非難しており(一方でいくらかのレビュアーはアメリカの奴隷制度の歴史的文脈を示し、単語の使用を擁護している)、また、一部の批評では映画が非常に暴力的であることが批判されています。
映画監督のスパイク・リーは『Vibe』のインタビューで本作を見ないと述べ、
「私が言おうとしているのは、この映画が私の先祖に対して失礼だということだ。これは私の意見で、誰かを代表しているわけではない」
と説明しています。
リーはまたツイッターで、
「アメリカの奴隷制はセルジオ・レオーネのマカロニ・ウエスタンではない。ホロコーストだ。私の先祖は奴隷だ。アフリカから盗まれた。彼らに敬意を払う」
と呟いています。
また、アメリカ合衆国におけるアフリカ系アメリカ人のイスラム運動組織『ネーション・オブ・イスラム』のルイス・ファラカーンは、映画を「人種戦争のための準備」だと思ったと述べています。
確かに、この題材を扱うのは、白人であるタランティーノにとって、いやアメリカ映画界にとって大変危険な賭けだったと思います。
歴史の当事者である黒人にしてみれば、その悲しい現実をエンターテイメントにされてしまったのだから、侮辱だと思う人もいるでしょう。
この映画を見て僕が思ったことは、おそらく彼はこの映画を通して何か思想的なメッセージを込めようという意志は特に無いのだろうということです。
ただ、南北戦争の前夜に、白人に対し復讐を誓った黒人の男の物語なのだなぁ、と思ったのです。
それは僕が日本人で、アメリカの歴史について馴染みが無いからかも知れません。
ただ、弱い立場の者が、強い立場の者に勝つという話が、僕は本当に好きなのです。
また西部劇のような渋いロマンが好きなのです。
このジャンゴという映画は、僕のフェイバリットの一つとなりました。
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