今年は佐村河内守、小保方晴子、野々村議員、などなど何かとメディアを騒がせるスキャンダラスな人物が多い気がします。
ロックミュージックが好きな僕が”スキャンダラス”というワードでまず思い浮かぶのが、ジム・モリソンという人物です。
ジム・モリソンは1965年から1970年代初期まで活動していたロックバンド『The Doors』のボーカリストであり、詩人です。
僕はこのジム・モリソンという人物が非常に好きです。
甘いマスクに、危険な佇まい、神秘的な作風に、野生的なボーカル、そしてワケが分からない呪術的なパフォーマンス・・・などなどその一筋縄ではいかない彼の魅力は人々の心を掴んで放しませんでした。(多分)
また、数々のスキャンダラスな事件により、メディアからは狂人、奇人、だと総叩きを喰らいます。
そういうところも含め、彼は、ロック史上、一番の男性セックスシンボルと言われています。
また、『27クラブ』という「ロックスターは27歳で死ぬ」都市伝説の中の一人にもなっており、それは彼を伝説的なスターとする理由の一つでもあります。
彼はドアーズ結成前は、映画の専門学校に通っていました。
その時の同級生に『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』などで知られる映画界の巨匠フランシス・フォード・コッポラがいたそうです。
しかし、その学校で自作の映画を発表する機会で、周りから彼の映画は「意味が分からない」とボロカスに叩かれますが、一人の生徒が彼の独特な世界観に興味を持ちます。
それがドアーズでオルガンを担当することになるレイ・マンザレクです。
そして彼の友人であるブルース・ギタリストのロビー・クリーガー、ジャズ・ドラマーのジョン・デンスモアと共にバンドを結成します。
ジム・モリソンはバンド名にオルダス・ハックレーがウィリアム・ブレイクの詩の一節から取った書のタイトル『知覚の扉』を元にドアーズと名づけます。
「もし、知覚の扉が浄化されるならば、全てのものは人間にとってありのままに現れ、無限に見える」
If the doors of perception were cleansed, everything would appear to man as it truly is, infinite.
この時点で、彼が少し変だなというのが分かります。
彼はバンド結成前から様々なドラッグをやっており、また酒豪でありました。
また、彼は哲学や詩にのめり込んでおり、独特な世界観を持っていました。
彼が最初に人の死を見たのは、子どもの頃、家族でニューメキシコ州へ旅行へ行っているとき、ハイウェイで起きた交通事故でした。
そこには血まみれで倒れている今にも死にそうなネイティブ・アメリカンがいた。
彼が生まれて初めて体験した恐怖であり、そのネイティブ・アメリカンの魂が自分の中に入るのが分かったそうです。
ライブ中によくネイティブ・アメリカンのゴーストダンスのようなものを踊っていました。
彼はテレビのインタビューでも、シャーマンについて語りだしたり、とにかく変な人だったと思います。
エド・サリバン・ショーに出演した際は、歌詞の一部「Girl we couldn’t get much Higher.」がドラッグを連想させる為、放送的に相応しくないので「~get much better.」に変更を余儀なくされます。
あの不良で有名なストーンズもそこはちゃんと変更した歌詞ですが、ジムにとって歌詞は何よりも大事なものです。
「歌詞を変えるといっても、たった一言だろ?いいじゃないか」と言ったレイに、ジムは「じゃあ、お前は今日から自分の名前を変えたらどうだ?たった一言だろ?」と皮肉を言ったそうです。
そして、本番生放送。あろうことか彼はそのままの歌詞で歌い、それ以降、ドアーズは出演禁止をくらいました。
また、1969年3月のマイアミでのライブ中、彼はステージ上で自慰行為を見せたとしてわいせつ容疑で逮捕され、有罪判決を受けます。
一説によると、彼はそれをするような仕草はしたが、実際にはしていなかったともいわれています。
それからというものの、ドアーズのライブ活動は縮小してゆき、二年後の1971年7月3日にジム・モリソンは急死します。
パリのアパートのバスタブ内にて死んでいたところを恋人のパメラが発見し、彼女の証言から死因はドラッグのオーバードーズによる心臓発作とされています。
しかし、パメラ以外に彼の死体はごく限られた人しか見られておらず、メンバーですらそれを見ていません。
また、彼の墓を訪れたドアーズのドラマー、ジョン・デンスモアは彼の眠る墓を見て「彼が入っているにしては小さすぎないか?」と疑問に思ったそうです。
また、彼はバンド活動が縮小していった頃、メンバーや友人らにアフリカへ逃亡したいと冗談交じりにも話していたそうです。
そして、彼の恋人でありジムの遺体の第一発見者であるパメラ・カーソンも、ジムの死んだ三年後に27歳の若さで亡くなっています。死因はヘロインのオーバードーズです。
そうなると彼の死について疑問に思い出す人も出てきます。
彼はメディアから逃れるために、死を偽装し、恋人のパメラと共にどこかへ逃げたのではないか、と囁かれています。
彼をそういうスキャンダラスな存在に仕立て上げているのは、そういった逸話やパフォーマンスもありますが、何より彼の顔がそうさせている気がします。
ジム・モリソンの顔を見て、何を思うか。
初期はちょっと癖のある男前って感じですが、問題は後期です。
ちょっと太ってからの彼は紛れもない悪人の顔をしています。犯罪者みたいな顔なのです。(一応、犯罪者ですが)
この顔があってこそのこのイメージです。ジムとレイ・マンザレクのルックスが逆だったらもしかしたらここまでの存在感はなかったと思います。勿論レイ・マンザレクもハンサムです。
僕が映画監督なら彼を殺人鬼役に使います。
少々ジム・モリソンのスキャンダラスな方面に話が傾きすぎましたが、ジム・モリソンの良いところはそういったイメージや話題性だけでなく、ちゃんとカッコいいというところです。
彼の歌声はよく「親父がシャワー中に歌うような鼻歌」だとか言われたりする所謂ヘタウマ(下手だけど上手い風に聞こえる歌)なボーカルかも知れませんが、僕は渋くてセクシーでカッコいいと思います。
また彼のパフォーマンスも素晴らしく、これだけ数いるロックミュージシャンの中でも唯一無二だと思います。
ドラッグや酒のせいかもしれませんが彼が何を見ているのか分からないが、じっと一点を見つめるミステリアスな感じ。そして歌が盛り上がると信じられないような奇声を発する獣のような感じ。彼は静と動の熱気を併せ持つ珍しいパフォーマーだと思います。
またドアーズの魅力はジム・モリソンだけではありません。
彼の存在感により影に隠れがちですが、他のメンバーも全員が素晴らしいです。
バンドサウンドの肝であるサイケデリックなオルガン、スパニッシュに影響されたブルースギター、フリーキーかつテクニカルなジャズドラム。どれをとっても最高です。
彼らの代表曲の一つである『Light My Fire』にはオルガンによる印象的イントロがあります。
僕はこれを初めて聞いたとき、(今聞き比べると全然似てないが)ディズニーランドのエレクトリカル・パレードを思い出しました。
ディズニーランドは夢の国です。
都市伝説ですが、ディズニーランドの目指した夢の国は、ドラッグ体験によるサイケデリック世界の具現化だといわれたりするそうです。
そこのメインパレードの曲が、サイケデリックの名曲『Light My Fire』を彷彿とさせるのにはやはりそういうことなのか?
少々話が脱線しましたが、ドアーズはジム・モリソンのイメージだけではなく、音楽もとにかく素晴らしいのです。