職業古本屋ですが、普通にお客さんとして他の古本屋に行くのも好きです。
もちろん、同業者として、おおっ、こういう陳列の仕方があるのかぁとか、こういう本も売れるんだぁとか勉強もさせてもらいますが、自分が探していた本、面白そうな本を買うことも多々あります。
そんな風に先日、京都で買った本がこちらです。
実は私は大の旅好き。
既に約70以上の国を訪問しています。
昭和3年の客船によるヨーロッパ旅行の案内です。
利用されていた船は榛名丸。
調べてみますと、名だたる客船だったようです。
大正11年、欧州航路の客船として誕生。
アインシュタイン夫妻が乗船したり、小林一三の経済視察団が乗り込んだり、山田早苗氏の著書「輝きの航海」にも登場します。
「ボンベイからアデン、スエズあたりにくると、すごいですよ。大鍋かついだり、やぎだの羊だの引っ張ってドヤドヤ乗り込んでくる。彼らは自分たちで柱を利用してデッキに天幕を張ってますよ。特外二等よりもっと下、部屋もベッドも食事も、何のサービスもいらない。甲板を貸して運んでやるだけ。人間も荷物の感覚で乗せちゃうんでしょうが、これは面白いですよ。彼らはデッキで自炊やるわけ。それをね、一等の客がジーッと見下ろしてるわけですよ。そりゃあ珍しいよ一等の客には。アラブ人が多いね、それにインド人ね。コロンボとかボンベイがあるからね。そのうちカレーの匂いがどんどんどんどんひろがっていく。」
私は勝手に豪華客船と思い込んでいましたが、もっと大衆的な足だったようです。
日本の円は信用が弱く、ドルやポンドなどの外貨を持っておく必要があるからという国策で、トラック3台もの金塊がつまれたこともあるとか。
戦争がはじまると輸送船にも利用され、昭和17年7月7日御前崎灯台附近で座礁し沈没したそうです。
こちらの案内は昭和3年ですので、一番輝いてた時代になるのかもしれませんね。
中を見ていきますと、どういった港に寄るのかと書いてあったり、船内のマナーなども書いてあり、当時の状況が想像できて楽しいです。
ロンドンが一番遠い寄港地のようで、51日後に到着。乗船運賃は現在の金額にすると一等で1000万円、一番安いのでその4分の1ぐらいに、現在のお金ではなるかと思います。
寄港地の案内も掲載されていて、それまた旅好きとしては読んでいて楽しいです。
買取する古本屋エーブックは今日も元気に出張買取中です。